2012/06/25

『いつだって大変な時代』

堀井憲一郎の著作

第5章が名前(前著『落語の国からのぞいてみれば』の誕生日の章もよかった)。その前章「個性の尊重で世界はどんどん歪んでいく」も説得力がある。
曰く、「個の尊重が少子化を進める」。
「集団を分化していった先に、子供がたくさん生まれてくるはずがない。個が完全に尊重される社会では、子供は増えない。ものすごく大勢の子供がいるならば、そこはそれで窮屈で集団としての生活を余儀なくされるわけで、個の尊重は少子化を進めていくばかりである」「分割は発展にはつながらない」。
さらに「個人が拡大して、個人の領域ばかりを広げていくと、やはり、われわれは不安になる」「個人消費を優先してゆくかぎりは、われわれは社会としてはゆっくり沈んでいくしかない」。

でようやく、第5章「子供の名前を自由に付けてはいけない」。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...