2015/02/08

やはり野に置け

加藤ゼミの卒業制作「フィールドワーク展」に行ってきた。

桜木町駅から会場に向かう途中で牛鍋屋さんを発見。お腹をすかした同行者に引きずられ、早めの昼食となった。

お店を出ると、まさかの雨。

会場は元倉庫だろうか(と思ったら銀行だった)。天井が高く、豪快。

さて今回、矢印研究家のボクとして外すわけにいかなかったのが、伊藤さんの「駅の記号」という作品。駅構内で採集した張紙やサインのコレクションだ。駅員にインタビューも試みているのだが、なかなか協力が得られなかったようだ。ポスター1枚を作るのにも、いろいろな逡巡や工夫があったはず。それは教えてもらわなければわからない。

太い柱に貼られた「記号」を眺めながら思ったのは、記号には文脈が欠かせないことだった。それがどこにあるかで、記号の意味もおもしろさも変わる。作品としての扱い方はむずかしい(作品自体は写真集で、解説付き)。

やはり野に置け蓮華草」かな。


会場でもらったゼミ冊子『芬蘭風俗採集』がいい。芬蘭はフィンランド。2012年のゼミ合宿の記録だ。

  • メトロ車内の乗客行動を観察した竹下さん。最後に、電車内で過ごす時間について、日本では「何かをするために空いた時間」ととらえるのに対し、フィンランドでは「移動のための時間」だと感じた、という。そう考えるとスマホに熱中する姿も納得がいく。
  • 上地さんはひげを観察してきた。帰国後、日本でも今和次郎風に観察しようと思い立つ。しかし失敗に終わる。「日本ではマスクをしている人が圧倒的に多いのだ」。笑ってしまった。
  • ベビーカーに注目したのは水谷さん。2000年に行ったとき、フィンランドに限らず、北欧では男性も押していた。さてヘルシンキでは、ベビーカーを押して乗車する人は、「親であるか否かに関わらず、トラム、地下鉄、バスなどの運賃がすべて無料になるらしい」。調べたら、「らしい」が取れた。すぐにでもきる。日本でも実施してほしい。車椅子についても。現状は、割引どまりだったり、障害によって対応がちがったり、でややこしい。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...