2016/12/30

台中の新旧


 昨日まで、大学院生たちと台湾に行っていた。

 今回の目玉は、台中の東海大學での交流。自己紹介、5班に分かれてのグループインタビュー、インタビュー成果の発表、質疑応答、と、もりだくさんの90分。

 さて。台中市はバスが10km (一日の移動距離)まで無料。事前に台中駅から東海大學までの道のりを調べたら「免費」とあり、てっきりスクールバスと思っていたが、そうではなかった。

 無料は、距離を管理するため、ICカード「Easy Card」(悠遊卡)での利用に限られるが、持っていない場合でも言えば、運転手が臨時カードを貸してくれるらしい。10kmあれば、大抵のところに行ける。

 無料化で自動車の通行量が減れば、排気ガスも交通事故も減り、かたや人の外出や移動が増え、いいこと尽くめに思える。
 バス停は広く大きな屋根があり、遠くからもよく見える。

 台中市内は全体として再開発の真っ最中。2、3年もしたら光景は様変わりするにちがいない。台鐵台中駅の旧駅舎は鉄道博物館として残るらしいが、古いたたずまいは消えてしまいそう。

 見ると聞くとでは大違い、を実感したのは台中国家歌劇院。ガイドブックにも正面の写真しかなく、知らなかったが、伊東豊雄設計の館内はまるで洞窟の中を探検しているよう。この先に何があるのだろうと。屋上も遊べる(上のパノラマ写真)

 ちょうど建物に関する展示が行われていた伊東豊雄的劇場夢:観念建築展。展示と言っても、彼の建設理念を映像化したもので、そのイメージがプラネタリウムのように3、40分上映される。巨大な(おそらく無印良品の)ビーズソファに寝転がり、音楽を聞いていると、リラックスする(来年1月30日まで)

 伊東豊雄の建物は台湾国内にいくつもある



岐阜・みんなの森
愛媛・大三島プロジェクト
長野・信毎松本本社
茨城・水戸新市民会館反対の会

2016/12/29

台北文化情報

月刊誌「文化快遞MAP」Culture Express

・台北市文化局の発行。台北市内の芸術文化情報を提供する。

・快遞とは速達便のこと。今月12月号が199号。単純に12で割ると、16.6。17年前から出ている勘定になるが、今回はじめて知った。日本語版と英語版は、中国語版にくらべると情報量は少ないが、その分コンパクトで内容も精選されている。レイアウトもスッキリしている。台北に行ったら、入手するようにしよう。今回は宿でもらった。

・本冊子で、台北ビエンナーレを知り、駆け足で行ってきた。会場の台北市立美術館は撮影自由。しかも65歳以上は無料。気持ちのいい小品(写真)とダンス、小学生の見学集団に会えた。

2016/12/25

遍在する優先席


きょうから台湾の台中。

台灣高鐵の自由席には、優先席がある。車両ドアを開けたら、いきなり「博愛座」の表示が目に飛び込んできてびっくり。しかも、空いている。


博愛座について、ホームページにはこう書かれている。

「自由席車両の前後ドア付近にはそれぞれシルバーシートを 5 席(計10席)設置しています」

座席数は90前後なので、1割強という勘定だ。

いいアイデアだ。

携帯の充電設備もユビキタス。バス停にも電車の駅にも設置されていて、無料で利用できる。

2016/12/24

名前のサイト

時事ドットコムニュース > 知ってる? > 名前の秘密

名前の由来
春風亭昇太ほか。

2016/12/22

きょうのお金

「もんじゅ廃炉決定」
税金1兆円、稼働250日
処分費30年3750円」
核燃サイクル失敗認めず維持
既に12兆円投入(東京新聞試算)
・気絶する数字が並ぶ、「もったいない」の悪循環。

「五輪経費1.6〜1.8兆円公表」
年明け分担協議
・経費に含めるものを限定すれば経費は縮小できる。そもそも立候補時の経費は7340億円だった。

・負の遺産が並ぶ新聞1面(東京新聞)


2016/12/20

支配は「友情」を並存させたがる

台湾人の林さん。

「台湾の非情の根源は、日本の植民地であったことだと思います。台湾人と日本人とのあいだには、個別的には友情も親しみもあったでしょう。だが、植民地における支配民族と被支配民族との関係は、そうした美しい関係をもこわしていく。実際、日本人が台湾人をどれくらい理解していますか。理解できないのはなぜですか。やはり、支配者の立場にあぐらをかいていたからではありませんか」


 田村志津枝『悲情城市の人びと 台湾と日本のうた』から。

 先日、「湾生回家」関連のイベント会場で、映画に出演し、台湾で子供時代を過ごした日本人が、現地の人とのあたたかい交流(林さんの前半のような話)を語った。その話にほっとしたのか(あるいは、そう思いたかったのか、差別したわけではなかったと思い込んできたのか)、ある日本人参加者が「必ずしも日本はひどいことをしたわけではなかったのですね」と確かめるように発言した。壇上の日本人は「私が経験した範囲では、ということです」と、限定付きで答えた。
 個別事情と大きな事情は並存しうる。大きな事情と異なる個別事情はどんな場面でもありうる。「友情」(個別事情)は、ときに「美談」となり、支配(全体)がなかったかのようにみなされる。

2016/12/17

「声と音」

表紙装画 清水彩子さん

 書肆侃侃房のPR誌「ほんのひとさじ」vol.4(特集「音と記憶」)に載っていた大洞敦史さんのエッセイから。
 幼稚園生のとき、二人の園児と砂場に自分の名前を書き合ったことがある。ぼくはひらがなで書いたが二人は漢字で書いていて、「漢字が書けないの?」とぼくに言った。漢字を知らなかったあのころ、言葉とはすなわち声だった。しかし今は大方において文字である。

 黙読が増え、その分、文字の言葉が増えた。著者の声が聞こえたら、この文章も印象が違うのかもしれない。黙読とは自分の声で読むことだ、と遅ればせながら気づいた。

2016/12/15

転がる石

ボブディランがノーベル賞を受賞した。
彼の曲に「ライク・ア・ローリング・ストーン」(1965)がある。
主人公Miss Lonelyの転落ぶりが、
To be without a home
Like a complete unknown, like a rolling stone
と転がる石にたとえられる。
Rolling stone gathers no moss(転がる石に苔むさず)のRolling stoneである。

しかし、rolling stoneは別のニュアンスでも使われる。
ライカはローリング・ストーン」、作詞松山猛。

「ザ・フォーク・クルセダーズ 新結成記念 解散音楽會」(2002)で、各自が宝物を取り上げ、それをローリングストーンと形容する。
 ライカ(加藤和彦)、有機野菜(坂崎幸之助)、九州大学(北山修)、……とつづく。最後はワイフ(加藤和彦)。本当の歌詞はよくわからない、アドリブ風。
 最後はディランの「風に吹かれて」(1962)のフレーズで終わる。ディランを意識した詩であることが伝わってくる。
 この曲では、ローリング・ストーンは前向きの意味に使われている。「ライク・ア・ローリング・ストーン」のローリング・ストーンとは対照的だ。

研究社新英和中辞典には、こう書かれている。
rolling stone
 ころがる石;住所[職業,仕事(など)]を次々に変える人。A rolling stone gathers no moss. 《諺》 ころがる石にはこけが生えない 《★【解説】 商売変えは損あって益がない;絶えず恋人を替えている人は真の愛が得られない[結婚できない];《米》 では、また絶えず活動している人はいつも清新だ、の意に用いる》。

 ローリング・ストーンの、転がるようすに注目すれば、不安定なニュアンスをともない、転がり続ける結果に注目すれば、古びない(苔生さない)というニュアンスを帯びる。同じローリング・ストーンなのにおもしろい。

 星野博美さんの『転がる香港に苔は生えない』の香港は2047年まで転がり続けるのだろうか。一国二制度(一国両制)は2047年までだ。

2016/12/14

Simons & Simons Lab

Simons Lab

The Visual Cognition Laboratory at the University of Illinois at Champaign-Urbana, headed by Prof. Daniel Simons.

「非注意性盲目」inattentional blindeness
・実験室実験
 selective attention test
・フィールド実験
 The "Door" Study

「変化盲目」change blindness
Movie Perception Test
Gradual Change Test 1

■TED×UIUC

Seeing the world as it isn't | Daniel Simons | TEDxUIUC
TEDxUIUC - Daniel Simons - Counter-Intuition

■Youtubeの教材

TEDでメディア・コミュニケーションの理解を深める(柴内康文)
動画で見る社会心理学(日本社会心理学会広報委員会)

2016/12/11

名前どおり……8 亡父に感謝

「家族のこと話そう」東京新聞 2016年12月11日朝刊

 フリーアナウンサー 室さん(1985年生まれ)「亡父思いながら語る」

 父は電気機器メーカーのシステムエンジニア。休日は自作のラジオで、吉田照美さんの番組が好きで「おもしろいなあ」とよく言っていました。15歳のとき、父は闘病生活のあと51歳で他界。
 吉田さんの番組のアシスタントに決まったときは、母から「同じ名前なのが目に留めてもらえた理由の一つだと思うから、名前を付けてくれたお父さんに感謝だね」と言われました。名前が一緒だったのは偶然なのですが、本当に「お父さん、ありがとう」ですね。 
 ラジオでは、ちょっとした自分の失敗談や損をした話を大事にしています。ラジオを聞きながら、くすくすっと笑っていた記憶があるので、私も皆にくすっとしてもらえることをしゃべりたいですね。

 彼女の名前は室照美。吉田さんの番組は「吉田照美 飛べ!サルバドール(関東地方のみ)。ご自身もツイート

2016/12/09

一面の見出し

いろいろありすぎの9日間。

12月9日【朝刊】 自衛隊機差し止め認めず:厚木基地騒音訴訟
12月8日【夕刊】「やまゆり」被害者忘れない:元職員ら聞き取り開始
12月8日【朝刊】 TPP国会決議違反「明白」:事前協議時の交渉官(作山巧)指摘(赤字ママ)
12月7日【夕刊】 オスプレイ集落上空つり下げ訓練:沖縄 米軍に防衛局抗議
12月7日【朝刊】 オカジノ法案衆院通過:「時間余った」質疑で般若心経(浦野靖人)
12月6日【夕刊】 カジノ法案衆院通過:民進、自由、社民は退席
12月6日【朝刊】 首相、真珠湾慰霊へ:オバマ大統領と訪問 ※「現職首相で初」との見出しもあるが、後日、そうではないことが判明
12月5日【夕刊】 新電力に原発の電力:電源の選択肢狭まる
12月5日【朝刊】 連載「新たな一歩:ある定時制高校陸上部を追って」第1回、福島・双葉町:3月までの避難解除困難
12月4日【朝刊】 委託率1.8%の都 積極支援へ:0歳からの里親広がれ
12月3日【夕刊】 戦後友好の旗:女川でカナダと戦った祖父の意思
12月3日【朝刊】 カジノ法案採決強行:ギャンブル依存症対策後回し
12月2日【夕刊】 カジノ法案を可決:審議わずか6時間
12月2日【朝刊】 交通事故減願う「償い」:実話に基づくさだまさしさんの歌 運転するみなさん聞いてください、川が新たなセシウム運ぶ:河口部汚染微減
12月1日【夕刊】 山・鉾・屋台 無形遺産に:ユネスコ登録決定
12月1日【朝刊】 70歳以上医療費負担増
以上、東京新聞から。

2016/12/08

寄席に行く

ゼミの学生たちと新宿末廣亭へ。

江戸時代のことをどうやっていまにつないでいるのか、を知る、が教育上の目的。

夜の部だったので、艶小話もちゃんと。

演目は「ざる屋」「身投げ屋」「金明竹」「目薬」……。

黒崎さんのを読んでいたら、落語の魅力が語られていた。
一人芸であることのおもしろさ 
 文字のない時代の知識伝達は口伝。落語も同様。落語は演出も役者も小道具もすべて一人がこなす。文字にして外化する必要がない。そこが演劇と違う。
 落語には、声の文化が持っていた1回限りの、喋ったら消えてしまうけれど、魂から出てくる魅力があると言えるのではないか。 
噺家と噺が一体化する魅力 
 文学は書き手と書いたものが分離できて、書いたものだけが残っていく文化。対して、落語は噺家と噺が分離できない。録音・録画時代には、過去に蓄積されたすべての噺家がライバルになる。とはいえ、落語の魅力はやはりライブであり場の共有である。噺家と噺が不可分の魅力は、録音・録画では享受できない。語りの面白さのみで聴衆を沸かす落語は聞き手の想像力を喚起する。江戸の長屋も生き生きする。落語の面白さは文字文化と声文化の対比を浮かび上がらせる。文字・録音・録画というテクノロジーの功罪をも考えさせてくれる。
場内は少し寂しかった。寄席ブームはここには届いていないのだろうか。それとも平日の夜だからだろうか。

 4時間たっぷりのライブで学生2500円、65歳以上2700円。しかも、ふだんは入れ替えなし、最大で8時間楽しめる。異空間だ。



 入口の上部に書かれている出演者の名前看板(橘流寄席文字)は農大の落研メンバーが書いたもの。と、農大からの編入生が教えてくれた。

2016/12/07

水には水の書体がある


液晶画面を見ようと、日陰を求めてビルの玄関に行った。ふと足元を見ると、散水栓のふたが目に入った。

 その「散水栓」の字が気持ちのいい顔をしている。いかにも水。清流のような雰囲気だ。宋朝体の仲間だろうか。

 さいきんテレビや冊子で宋朝体を見かけるようになったが、清々しさゆえだろうか。外連味がない。

2016/12/06

じょじょに

「保育園落ちた日本死ね」流行語大賞トップ10入り怒りの背景直視を
(東京新聞、12月6日の紙面から)

 保育園の審査に落ちた母親が今年2月に投稿した匿名ブログのタイトル「保育園落ちた日本死ね」が、年末恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10に選ばれた。どぎついながらも率直な物言いは多くの母親の共感を呼び、待機児童問題は政治の中心課題に躍り出た。ところが、今回の受賞にはネット上で「日本人として悲しい」「流行(はや)らせたい人間は変態」と批判が噴出している。「日本死ね」が飛び交うのは確かに悲しいが、現実から目を背けてはなるまい。
(木村留美、沢田千秋)

 同賞主催者のユーキャンや自由国民社に、いやがらせがあいついでいることを取り上げている。為政者側に対する批判はあって当たり前。それができなくなるのがコワイ。じょじょに変わることに人は気づきにくい。
 

 

2016/12/05

長崎名物

お昼を注文し、待っていると、テレビ画面にさだまさし(徹子の部屋)が出てきた。
すると、そこの主人がチャンネルを切り替えた。
「もう、いいですよ」と、食傷気味に一言。
「?」
脇のテーブルに見たことのないものが置かれている。
やしょうまのような感じがする。でも、その時期ではない。
たずねると「かんころもちです」と教えてくれた。
「五島列島の出身なんです」。
そうか、長崎の出身なのか。
試食させてくれた。
言葉として聞いたことはあったが、食べるのは初めて。
干し芋のお餅と言えばいいだろうか。
「かんころ」は干し芋。
その脇には、からすみも。まだ透き通っている。これもまた長崎。
「寒くなってくれないかなあ」。
温度が低いほど、早くできるらしい。もちろん、カビもできない。
今日のお昼は煮魚定食。

2016/12/04

名は体を表す??

浜矩子さんの「時代を読む」が「名は体を表す?」(東京新聞12/4)。トランプ氏の話だ(以下、抜粋)
 ところで、トランプ氏の名前が面白い。英語で書けば、Trumpだ。この後ろにeryをつける。取るに足りないもの、無価値な物、ガラクタを意味する言葉になる。tumped-upという表現もある。「でっち上げ」とか「捏造された」の意だ。名を体を表すと言ってしまっでは、あまりにも失礼か。
 公平を期するために言っておけば、trump cardは切り札を意味する。come up trumpsは「事を首尾よく成し遂げる」とか「最終的に勝利を博する」という感じだ。
どう転ぶか、から、どう転んでもらうか、へ。選んでしまった以上は。



英語では、Names and natures do often agree. あるいは、Name is omen. と言う。
英語で検索してみたが、向こうでは名前がらみのトランプ論は見つからなかった。

2016/12/03

これも逆輸入?

 誠品書店はじめ、台北の書店の日本書コーナーで何種類も平積みされていたのが小池龍之介の本だった。

 それまで彼のことを知らなかった。カバーの写真付き紹介を見ると、お坊さん。若い。いま38歳。

本の窓」の連載で、彼のエッセー「思いこみの突破法」を初めて読んだ。第16回の思いこみテーマは「『上から目線』の物言いはけしからんもので、反発して当然だ」。

 小見出しから、彼の主張が伝わってくる。

・受け手の傲慢さが「上から」「下から」を決める

 本人が謙虚であれば、他人が少し高慢な言動をしても、相手の意見に耳を傾ける。「自分はひとかどの、敬意をもって接せられるに値する大人物なのであるッ」が他人の傲慢さに敏感になる。これが、上から目線光線の裏メッセージ。上から目線と言う人は、相手について話していると言うよりも、自分の傲慢さを告白している。

・分からない表現がターゲットになる

 わかりやすさが優先し、「分からない」は「もっと分かりやすくすべきなのに、説明不足の相手が悪い」、生意気だ、となる。相手が自分のためにすべてを分かりやすく説明してくれるべきだと、尊大な思い込みをしている。ターゲットになる表現の主は何かしらの見識を持っている人が多い。そうした人を評価する際「同じ目線で話してくれる」と好感を抱く人がいる。この裏メッセージは「この立派な私に対して、へりくだってくれるので慢心を傷つけられずに済んでうれしい」。

・自己の慢心に気づく大きなチャンス

 「自分はいったい相手の何をそんなに受け止めたくないと躍起になっているのだろう」。形式にとらわれ、内容に目がいっていなかったことに気づくチャンス。むしろ自身の成長や更新のチャンス。

 「そんなわけですから、上から目線? べつに、いいじゃないですか!」



 外国に行ったら、日本書コーナーを見て回る。どんな本が置かれているか、そこから日本を見る。特にアジア圏は日本に関心を持ってくれているから、点数も多く、参考になる。

2016/11/30

ぎょぎょ

いったい、どこまでエスカレートするのだろう。

名前に「お」をつけてきた人がいる。
「お鈴木さんに連絡を……」
入力ミスかもしれないが、前後からして「御鈴木さん」の可能性を捨てきれない。

「御情報に感謝して……」も。

でもあらためて思ったことがある。「御」がつく名詞とつかない名詞のちがい。

2016/11/24

木皿さんのドラマ

木皿さんの連載「カゲロボ日記」のページに、能率手帳(NOLTY)の広告が載っていた。

 「どんな夢も、手帳に書けば、計画になる。」

 いいコピーだなと思ったら、2011年からあったらしい。能率手帳時代のものだ。

 「どんな夢も、下位目標から達成しないと、実現しない」を考えた。

 ところで木皿さん。新春に放送があるらしい。今年に続き「富士ファミリー」。題して「富士ファミリー2017」。

◎2017年1月2日(月) 18:05~18:48 NHK総合 番宣スペシャル番組「もっと富士ファミリー」
◎2017年1月3日(火) 21:00〜 NHK総合 新春スペシャルドラマ「富士ファミリー2017」

お正月が待ち遠しい。



高橋書店 第10回「手帳に関する意識と実態調査」[PDF]
・ スケジュール管理では圧倒的な支持率のアナログ手帳。

2016/11/22

「震度5弱 東北津波」

すわ、3.11の再来か。
午前5時59分、福島県沖M7.4。
東日本大震災の余震らしい。

2016/11/21

「橋をめぐる物語」

中野京子さんの連載。今回のテーマは「円い橋」。

紹介されているのは、

●デンマークの「無限橋」Infinite Bridge。
直径61m、海抜2m。2015年の野外アートフェスティバルの作品。
手すりがなく、幅は3人並んで歩ける程度。
自分の尾を踏む蛇、ウロボロス(永劫回帰の表現)のよう。

ラグナ・ガルソン橋。意味は、ガルソン潟湖(せきこ)橋。
2015年完成、作者はラファエル・ヴィニオリ。祖国ウルグアイのために作った橋。
車もスピードを出せない。景色を楽しむ。



 過去の連載は『中野京子が語る 橋をめぐる物語』として刊行されていて、以前読んだ。内容はおもしろいのだが、文章に先立って、該当する橋の絵や写真が奇数ページに載っている。説明も何もないので、どんな橋かわからず、本文と行ったり来たりで、読みにくい。

2016/11/20

共振するからだ


 後れ馳せながらホソマさんの『介護するからだ』を読んだ。日付はないものの、グループホーム日誌。

 考察対象が動作。それを言葉でいかに説明するか。いざわさんのイラストはあるものの、大半は文章。口に出して読むと、情景が目の前に浮かぶ。

 記憶に残ったくだりをいくつか書いておこう。

 ある入居者にいっしょに立ち上がってもらおうとして、声をかけると、彼の手元を見て、「ん? 三角するの?」。
 彼の両手が親指と人差し指で八の字に開いて向かい合ってテーブルについてできた隙間が三角していたのである。
「そう、三角です」と言うと、その人も一緒に三角を作り、立ち上がるきっかけが生まれた。その後は悪戦苦闘したらしいが、第一段階は終わった。
 どこに注目するか、人によって違う。というエピソードでもある。

 居合わせた高校生から「かわいい!」と声が飛んだショッピングモールはフードコートでの晩餐会もいい。そろいのひざかけの車椅子の整然と並んだ列が何かのCMのようにファッショナブルだったらしい。誰かCMを作らないだろうか。

 いろいろヒントをいただいた。どこかで花を開かせよう。



 ホソマさん、ギターを弾くんだ。

2016/11/19

等身大のフィンランド


 岡田さんがフィンランド帰朝報告をすると知り、聞きにいった。ご本人のツイートで、当日の朝知った。お互いビックリ。

 つまみ食いできるフィンランドのヒント2つ。

 ベビーカーの親子(子どもは6歳まで)は電車代が無料。小さな「不正」もあるらしいが、それで出生率向上に貢献できるのであれば安いもの。
 缶ビールはデポジット制。1缶15セント。

 先日、リフレクターを買ったら、スウェーデン製。意外だった。その理由が今日の話でわかった。
 フィンランドを含む北欧は道路の明かりが少ない。その割に制限速度は100kmだったり。そういう状況で事故に遭わないためにはリフレクターが欠かせない。

 フィンランド人はよく骨折する。ジョークになるぐらい多い。日射量が少ないから。

 売っているスケート靴、男性用はホッケー用しかない。フィギュア用は女性向け。男女平等のイメージからすると意外。確かにフィンランドのフィギュアスケート選手に男性はいない。

 センスのいいインテリアは家にいる時間が長いから。

 終了後、みんなでフィンランドのジンジャークッキーに絵を描いて、食べた。身体が温まりそう。



Finnish nightmares

TAPIO ANTILLA DESIGN

2016/11/17

ビッグイシュー日本版298号

ビッグイシュー

シビックエコノミー

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  • NEWSED PROJECT 東京都 NEWSEDはNEWとUSEDを組み合わせた造語。時間・時代・使用など、あらゆる意味で古くなったモノを、新たな視点から、別の新しいモノとしてよみがえらせる。

ワンダフルライフ

  • パーリー建築 東京都 空き家をセルフリノベーション!建築しながら毎晩パーティー!

2016/11/16

いつかは渡る

あなた、その川を渡らないで」を見た。
おそろいのきれいな色の韓服がチャーミングな夫婦。
夫98歳、妻89歳。
最初のシーンが最後のシーン。
夫が土蔵のような建物の外壁に大きな鏡をかけるシーンがある。思うように釘にかからない。これまでできていたのに、うまくいかない。歳を取ったことの表現なのだろうが、なぜ鏡を彼はかけたのか。
庭で働いている自分の姿を確認したかったのだろうか。妻も出かける前に鏡でチェックするようになった。庭に置くのはけっこういいかもしれない。

2016/11/14

「縦でも横でも」

卒業生のご両親から手紙を頂戴した。

 お父さんの名前に「康」が含まれ、読みがボクと同じであることを知っていたので、そのことに一言ふれて手紙を書いた。
その返信なのだが、最後にお二人の名前があり、解説も添えられていた。

山田康幸
  幸代
   ↑
縦でも横でも同じに読めるんですよ。

 魔法陣のよう。名前が結婚のきっかけかもしれない。と思うほどの組み合わせ。なお、卒業生の名前は「康幸代」ではない。

2016/11/13

台湾の名前事情

 台湾新聞の11月7日号に「改名で運勢アップ?」と題するエッセイ(文:You Li Xiang)が載っていた。

 数年前、台湾でインタビューした時に教えてもらったことと変わらないが、備忘録を兼ねて書いておこう。
 2003年に「姓名条例」が大きく修正され、3回まで改名が可能になった。条件は、以下の6種類。
  1. 同時に、一つの機関、機構、団体又は学校において、姓名が完全に同一の人がいる場合
  2. 三親等以内の直系尊属と名が完全に同一の場合
  3. 同時に、一つの直轄市、県(市)に6ヶ月以上居住し、姓名が完全に同一の人がいる場合
  4. 公務員への任用時に姓名が完全に同一であることが発覚し、任用機関から通知を受けた場合
  5. 指名手配犯と姓名が完全に同一の場合
  6. 命名文字の字義が低俗・下品又はその他の特殊な原因がある場合
日本(以下の条件)に比べると緩い。
  1. 永年通称名として使用した場合
  2. 書きづらく読みづらい場合(奇名、珍名を含む)
  3. 女性でありながら男性と間違われたり、又はその逆の場合
  4. 神官や出家して僧侶になった場合
  5. 結婚などで家族に同姓同名になった場合
  6. 伝統芸能や商売上で襲名した場合
  7. 精神的苦痛を伴う場合

 弁護士の若林さんによれば、日常生活圏内に同姓同名者がいることが理由とされるケースが多いのが特徴的である。開運で変える人もいるのは、インタビューで知った。

 最近、名前に関する記事が載っていた。

台湾最新姓名统计:家豪、淑芬蝉联男女最常见名字冠军
2016年10月26日 18:20 来源:中国新闻网

 中新社台北10月26日电 台湾内务部门最新姓名统计分析26日出炉,全台湾男性与女性最常见的名字仍由“家豪”与“淑芬”获得冠军。这两个名字已连续多年夺冠。

 根据分析,全台十大常见名字,男性依序为家豪、志明、俊杰、建宏、俊宏、志豪、志伟、文雄、金龙、志强;女性依序为淑芬、淑惠、美玲、雅婷、美惠、丽华、淑娟、淑贞、怡君、淑华。

 该姓名统计两年进行一次,今年首度加入老化指数分析,全台十大姓中,老化指数最严重的是刘姓,老化指数99.73,刘姓老化人口已趋近幼年人口数,如不增加刘姓幼年人口,未来刘姓人口有可能从台湾十大姓中退出。

 据了解,全台十大姓氏为陈、林、黄、张、李、王、吴、刘、蔡、杨。陈姓约有261.9万人,占11.14%,与2014年比较,人口数增加最多,增加1.4万余人。

 今年还首度将爱改名的年龄列入分析项,发现台湾民众最喜欢改名的年龄是30岁,有2.1万余人在30岁改名。其次是29岁、31岁、28岁。满一岁前,也爱改名。

 2010年至2015年,台湾改名人口数已超过64.17万人

 另据台北市民政局针对8万名新生儿的名字统计,近三年的新生儿名字,以男宝宝的“柏睿”以及女宝宝的“咏晴”最热门,新一代热门名字走起梦幻风格,取代了过去的“怡君”、“志明”。

 其中,以“柏睿”替男宝宝命名最热门,共有128名,二到五名则为品睿、宸睿、宥廷和柏宇;而替女宝宝命名为“咏晴”的多达100名,品妍、品妤、子晴和宥蓁位居二到五名。此外,宥安、品希、子晴则为不分性别的热门名字。(完)

 留学生に訳してもらった。

 台湾 名前ランキング2016 最新:
「家豪」(男性名)、「淑芬」(女性名)は一番多い名前を保持
 2016 年 10 月 26 日 18:20 中国新聞網

 中新社台北10月26日。台湾内務部の最新統計によると、台湾で一番多い名前は長年続く「家豪」(男性名)と「淑芬」(女性名)だという。

 分析によると、台湾での男性の名前ランキング10位は、家豪、志明、俊杰、建宏、俊宏、志豪、志伟、文雄、金龙、志强で、女性の名前ランキング10位は淑芬、淑惠、美玲、雅婷、美惠、丽华、淑娟、淑贞、怡君、淑华である。

 この名前についての調査は2年ごとに行っていて、今年は初めて年齢も調べた。結果によると、台湾で上位10位の苗字で、年寄りで一番多かったのは「劉」だった。老化指数は99.73で、新生児に近づいている。このことから「劉」の苗字を持つ新生児が増えなければ、「劉」という苗字は台湾の苗字トップ10から姿を消す。

 今、台湾で多い苗字トップ10は、陳、林、黄、張、李、王、呉、劉、蔡、楊だという。陳の苗字を持つ人は約261.9万人、11.14%を占め、2014年の結果に比べ、人口の増長が一番多く、約1.4万人増えた。

 今年は初めて、名前を変えた年齢も調査した。台湾人で一番名前を変えたがる年齢は30歳で、約2.1万人は30歳ぐらいの時に名前を変えたことがわかった。その次は、29歳、31歳、28歳だという。1歳前でも名前を変える人も多い。

 2010年から2015年まで、台湾で名前を変えた人は64.17万人を超えた。

 この他、台北民政局は8万新生児の名前について統計を行って、この3年間で、一番人気のある名前は「志明」(男子)、「怡君」(女子)に代って、幻ぽっい「柏睿」(男子)、「咏晴」(女子)だと明らかにした。

 男子の名前は「柏睿」が大人気で128人、次のトップ5は品睿、宸睿、宥廷、柏宇だ。女子の名前は「咏晴」が一番多く、100人になっている。つづいて、品妍、品妤、子晴、宥蓁が人気がある。ついでに、 宥安、品希、子晴 という名前が性別に関わらず、人気を博しているという。

2016/11/11

チャーミングな芸術家

昨日、Jung Yeondoo(ヂョン・ヨンドゥ)さん(1969年生まれ)の講演を聞きにムサビ。

 たっぷり2時間。おもしろく、楽しかった、に尽きる。

 写真をやると、写真家と言われ、料理をすると、料理家と言われ、とその都度、いろいろな言われかたをされると、本人、苦笑。制作中の作品も見せてくれた。

 子供が描いた絵を実際に再現して撮影した作品(ワンダーランド)では、男性の同性結婚が登場。場面は二人の結婚式で、一人はブーケを手にしている。周りの人は祝福と同時に驚きの顔。二人の真ん中には、もう赤ん坊。画像にリンクを張りたかったが、見つけられなかった。

 学生が「作品でヂョンさんの伝えたいことは?」と質問した。

「ないんです。私は(とりあえず被写体になっている)その人たちの伝えたいことを媒介するだけ」。

 水戸芸術館で、さくねん彼の展覧会があった。「ヂョン・ヨンドゥ 地上の道のように」。アーツ前橋でも企画があった。

 明日、中央大学に登場する。



 彼の話を聞きながら、永年のプランを実行に移したくなった。考えてみよう。

2016/11/10

一夜明けて


▲学習センターの新聞ラックに並ぶ「米大統領トランプ氏」

 日本の報道では、ヒラリー優位の基調だったが、現地ではそうではなかったのだろう。ニューヨーク・タイムズがヒラリー支持を表明したり、危機感は相当のものだった。
 日本の安倍首相は早々に無条件の祝辞を送ったらしいが、そこはメルケル。「両国はいずれも、出身地や肌の色、宗教、性別などに関係なく、自由と人権が尊重される国であるとし、この同じ価値観を踏まえて緊密に連携していきたいとの考えを示した」。

2016/11/07

「こんなことがないように!!」?


 写真は、水戸市内のスーパー入り口の掲示板に貼られていたポスター。最初、なんで、ここに給食情報? としか思わなかった。

「こんなことがないように!!」

 ダブってもいいじゃんと思うのはボクぐらい? 競作にもなるし。野菜高騰でメニューが変わるかもしれないし。人生の理不尽さを知る機会も減るし。

「こんなことがあってもいいように!!」するのが、リスク管理。

 献立が変わる場合、その都度ここに掲示するのだろうか。いったん情報を出したら、そのメンテナンスはたいへん。

2016/11/06

関東小旅行


この用事(左写真)で群馬大学へ。趣旨は、社会情報学徒へのメッセージ伝達。今回は、キャンパスのある前橋という地名に「橋」が含まれていることも幸いした(地元の人は、前橋を訪れることを「来橋」と言う)。広瀬川にかかる橋の多さも。この数年、コミュニケーションを橋にたとえているのが気に入っていて、前橋は格好の場所。

 前橋は1年ぶりなのだが、今回も高崎線のトラブルに見舞われた。前回と同じパターンで、新幹線で行く羽目になった。JRは、なかなか高崎線くだりを使わせてくれない。

大宮タカシマヤのバラ矢印

 今回は大宮に寄ってからの旅程。さいたまトリエンナーレ矢印の企画展示があったからだ。

 企画者は、長島確+やじるしのチーム。長島さんは「なかしまかく」と読む。市民が作った矢印をかれらが撮影に出かけ、その写真を展示するというもの。パンフレットに、矢印の着想は、太田省吾の「↑(やじるし)」シリーズから得たと書かれている。

 会場は大宮駅前のタカシマヤ。6階から8階までの階段の壁に、それらが貼られている。キャプションがほとんどないので、見る人が矢印を発見する。ニューズレターが置いてあったらしい。係りの人に「品切れで申し訳ありません」と言われて知ったのだった。「また来てくださいね」。そもそも展示自体も最終日の11/20まで進行中。

 週末は水戸ツアー。廃墟の多さにビックリ。(お約束の、かな?)みと肛門クリニックもあった。

2016/11/03

真性ポピュリズムを、と

 ブレイディみかこ『ヨーロッパ・コーリング』。

風刺とデモクラシー

「良質な風刺は、政治なんて退屈だと思っている人々の目を政治に向かわせることができる。政治というのはそれで笑いを取ることも可能なほど、けっこう乱暴で面白いものなんだと気づかせることができるのだ」。オーウェン・ジョーンズ。

 政治家は笑われてなんぼ。しかし日本の政治家はムキになる。

「安倍首相は、自分の好きなサッチャーのスローガン「There is no alternative」を「この道しかない」と翻訳して選挙戦を戦ったそうだ」。

 かくして、ネタに困らない。

 populismとは(人民の利益を代表すると称する)人民主義。

2016/10/28

卒業生からのメール

 深夜、こんなメールが届いた。メキシコ発だった(時差は14時間)。ありがたく、ありがたく、何度も読み返した。この学生はインパクトのある名前だったので、名前は覚えていたものの、顔が思い出せない。
 メールでは、学部や大学のことにもふれられている。賛同することばかり。

【第一報】

東経大コミ部を2009年に卒業しました○○といいます。覚えていらっしゃるでしょうか?

お忙しい中突然ご連絡してすみません。広島出身で端艇部に所属しておりました。

1年の時に先生の講義を受講し、私のブログの発表をさせていただきました。卒業は恥ずかしながら半年遅れましたが…‥

(略)

先生の授業はとても面白く、また広島への関心も持っていただいており、◇◇として、勝手に親近感を感じておりました。

私は今年初めより仕事の関係でメキシコに赴任しておりまして、実家から東経大の学報が届き、懐かしく思い、ご連絡しました。

私にとって海外で働くことは子供の頃からの夢でした。違う文化・言語の方々と関わって仕事をする中で、コミュニケーション学部で得た知識や見識を多く活かせていると実感しています。

先生の社会心理学の講義もとても興味深かったです。

コミュニケーション学部のことを知らない人にはよく「就職に役立たない」と言われることがありますが、私という人間の一端を形作るかけがえのない物を得ることができました。

就職に役立てるために大学に行く、という考え自体が不思議ですし、そうして通った大学はただの塾と同じと思っています。

本当にコミュニケーション学部を選んでよかったと思う日々です。

この機会にひとことお礼をお伝えしたいと思い、ご連絡しました。私はおおぜいいる学生の一人にすぎませんが、先生は私にとって大変印象に残る先生でした。

現在ブログは更新しておりませんが、Instagramで「□□」というユーザー名で更新しています。Instagramは写真主体なので、人間関係が濃いFacebookより気楽に感じています。ブログも再開したいなと思っていますので、よろしければご覧ください。

メキシコや○○に来られる機会がありましたら、ぜひお知らせください。

さらなるご活躍をお祈りしております。

【第二報】

追記です。もし万が一、以前の発表のように講義の材料としてできることがあれば何でも言ってください。

今の仕事はローカルスタッフへの業務指導、マネジメントが主ですので、スペイン語に四苦八苦しながら楽しくやっています。

よろしくお願いします。



◇◇の部分は、今回はじめて知った内容だった。このことにふれると、本人が特定できてしまうので、伏せた。ブログへのリンクがあったので、見に行くと、本人と家族の写真があり、思い出した。おお、彼だ。

「コミュニケーション学部のことを知らない人には‥‥、私という人間の一端を形作るかけがえのない物を得ることができました」は学部にとって、かけがえのない一文だ。うれしい。


2016/10/25

メメント・モリ

世界のお墓』。

 こういうジャンルの本を何と呼ぶのだろう。たとえば、『世界で一番美しい駅舎』。タイトルに、「世界」が付いたり、「一番」が付いたり、「美」や「絶景」が付いたり、「死ぬまでに一度は」が付いたりする、写真主体のムック。

 このジャンルにお墓もあるとは。まさに「メメント・モリ」。

 「死者を想え」。自分も必ず死ぬことを忘れるな。死と生に畏怖の心をもて。

 楽しいお墓もある。ルーマニアのThe Merry Cemetery in Sapanta

 いいなと思ったのは、自然に朽ちるタイプ。たとえば、オーストラリア連邦メルビル島のPukamani Poles。「死者とともに逝く墓」。

 先住民族ティウィ族のお墓だ。墓標が木製で(高いものだと高さ4m。直径30cm)、やがて朽ちてなくなる。「肉体が朽ち、死者の魂が慰められたら墓標もまたともに朽ちるのだ」。

 同じようなお墓として、カナダのMortuary Poleも紹介されている。これも「朽ちて自然に還る墓」。死者と暮らすお墓?、City of the Dead(エジプト・アラブ共和国)も紹介されている。

 世界各地の葬送は、自然環境にかなっているとの解説があった。木の育たない土地では火葬は容易ではない。だから鳥葬(ラサ)



 Pukamani(プカマニ)はティウィ語で、タブーを意味する。

 40年前、バナラシに行ったとき、荼毘に付している光景を目の当たりにした。まだ20代だったボクには死の日常というよりも好奇心が先行した。

2016/10/24

神は「局」部に宿る

「神は細部に宿る」。
細部(details)を突き詰めれば局部(section,segment)になる。
世界は、分けないと見えない。を、地でいく都築さん

局部主義の彼の展覧会「僕的九州遺産」に行ってきた。あの局部(privates)と、この局部。両方が遺産として紹介されている。

入場券の購入と同時に説明があった。館内マップを手に「この展示室は18歳未満の方は入場できません」。館内も「あの」展示空間と「この」展示空間の、2つの局部に分かれているとは徹底している。

事前に「scripta」秋号の連載「ROADSIDE DIARIES 移動締切日」で予習。
陰陽石(宮崎県小林市)
ケロケロ共和国宮崎県小林市)
フルーツバス停(長崎県諫早市)

展示物に長野県の地名の出てくるものがあった。九州なのに長野? 戦前、長野県内の見世物小屋で使われた看板絵(布製)だ。なぜ、長野なのか。この絵を書いた絵師、志村静峰(せいほう)が九州出身だった。

ボクは細部ぐらいにとどめておこう。局部とは見方の産物でもある。そこまで行ったら、見るものが多すぎて、何回生きてもきりがない。

2016/10/20

もういくつ寝ると

 昼休み、祝饅頭を片手に、新春企画の第1回打ち合わせ(骨子が固まり次第、アナウンスします)。そのメモに、ボクの役割も書かれていた。

「“矢印好き” “人の名” “日記” をテーマに、川浦さん」が何かする/させられるらしい。

 この3点セット、自己紹介にもなっていることに、あとで気づいた。こういうのを、言い得て妙、と言うのだろう。3点セットからは、インスピレーションもわいた。
 例えば、日記→ジャーナル→ジャーナリズム。とか(忘れないうちに書いておこう)

■夕方から講演会
 武井誠さんと(コミュニティバスの)塩野太郎さん。

 手がけられた上州富岡駅から外国の駅まで紹介。富岡市は新市庁舎が隈研吾とか。DB(ドイツ鉄道)のステキな列車編成表とか、武井さんからいろいろ。

 塩野さんからは、障害者から外国人までを移動困難者とすると、ざっと20%。優先席も2割が目安とか、日本の電車空間は幅2.7m×高さ2.7mの方丈とか、Thalys(欧州高速列車)がお勧めとか、楽しく。

 音に関する質問もでき、あっという間の2時間。

2016/10/19

見られていた

 先日、ある会合で、ある大学の学長と話をする機会に恵まれた。かねてから挨拶をしたかった先生でもある。そっと近づいて、名刺を手に自己紹介。すると、

 「えっ、コミュニケーション学部ですか? 見ましたよ、あのコミュニケーション学部卒制・卒論一覧ポスター」。

 予想外の発言に、思わずニンマリ。あのポスターに目が止まり、しかも覚えていてくれる人がいた。しかも、その人は、あの先生。さすがにうれしく、お礼を述べると、

 「あれを見て、うちの学科と同じじゃん、と思いましたよ。関心もやっていることも。今度、うちの授業でも見に来ませんか」。

 あのポスター、作った甲斐があった(今回で4回目)

2016/10/18

『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争』

図書館の新刊コーナーで見かけた本だ。

 目次を見ないまま、パラパラめくっていると、「長野県」という文字が飛び込んできた。

「軍都としての長野県」

 満州開拓団を最も多く送り出した県であることは知っていたが、軍都とは知らなかった。出身者として気になる。

「勇士」の「防寒衣」になる羊毛を生産するため、日本でも養羊が行われ、長野県はなかでも盛んな県だった(このことも知らなかった)。寒冷気候、隣接する愛知県が毛織物工業が盛んだったことが大きかったという。ただし「満州に展開していた陸軍歩兵第50聨隊が松本を本拠地にしていたこと」「生糸に代わる安定的な新産業を模索していた地元の商工界が、軍需の見込める養羊」を重視していたことも「忘れてはならない事実である」。

 まえがきから読み始めた。この本にあるポスターが、実は長野県阿智村の原家に残されていたものだった。裏が無地のポスターは再利用されたり、小包用包装紙として転用されたりして、ほとんど残っていないらしい。


阿智村「満蒙開拓平和記念館


2016/10/16

備忘録

東京新聞の書評欄から
・難波知子『近代日本学校制服図鑑』創元社
・麻田雅文『シベリア出兵』中公新書
 書評(長山靖生)
・朝井リョウ『何様』新潮社
 書評(倉本さおり)
 著者インタビュー

2016/10/12

人格(権)を否定する日本

東京地裁、教諭の旧姓使用認めず 職員識別に「戸籍姓必要」
(東京新聞、2016年10月12日 朝刊、以下は抜粋)

職場で旧姓使用が認められず戸籍姓を強制されたのは人格権の侵害であるとして、日大三中学・高校(東京都町田市)の女性教諭が、学校法人日本大学第三学園に旧姓使用と慰謝料を求めた訴訟で、東京地裁(小野瀬厚裁判長、「飛び降り強要の加害者親に1000万円命令」11日、請求を棄却した。

 女性は控訴する方針(原告側代理人は早坂由起子弁護士

 判決は、戸籍姓を「戸籍制度に支えられ、より高い個人の識別機能がある」と指摘。「職員を識別、特定するものとして戸籍姓の使用を求めることに合理性必要性が認められる」とした。旧姓使用を認めない学校側に違法行為はないとした。

 昨年12月、最高裁大法廷(裁判長、寺田逸郎長官)が夫婦同姓を定めた民法規定が憲法違反かどうかが争われた訴訟の判決で、合憲と認めた上で「結婚前の姓を通称として使うことまで許さないものではない」と指摘。旧姓の通称使用が社会的に広まっていることを踏まえ、「改姓した側の不利益は女性が受ける場合が多いが、旧姓の通称使用が広まることで一定程度緩和できる」との見解を示していた。今回の地裁判決はこれと齟齬を生じた形となり、原告側は「社会の動きに逆行する判決だ」と批判している。

 日本大学第三学園の高瀬英久常務理事は「主張が裁判所に理解されたと評価している」。

■発想としてあるのは管理のみ。個人の尊厳を無視した「識別機能」「合理性」という事由はやるせない。「必要性」も含め、管理者(為政者)に都合のよい判決。裁判所の判決は判例主義ではないのだろうか。

2016/10/11

こんな本、あるだろうか

たとえば、統計の本。

 たくさんデータがあると、その特徴を一目でわかるようにしたくなる。平均はその代表例。3, 4, 5も、4, 4, 4も、「平均」は同じ。しかし、中を見ると、ようすが異なる。だから「散らばり」という指標が必要になる。

たとえば、日本語の本。

 段落の冒頭は一字下げ。なぜなのだろう。段落の始まりがわかるようにするというのが実用機能。これとは別にこんな働きもしている。最初がいきなり文字で始まったら、どきっとする。例えるなら、字下げのない段落は脱衣室のない銭湯のような、そんな感じと言えばいいだろうか。しかし一マス空いていると(空白があると)、そこで、心の準備ができる。これから文が始まるよ、という序奏が冒頭の空白にはある。

できれば、どちらも縦書きで。

2016/10/10

横浜で


塩田千春鍵のかかった部屋 の最終日。

 きのうもらったチケットで、横浜へ。

 以下は、塩田さんへのインタビュー記事から。

 「赤い糸と鍵は、人をつなぐシンボルです。毛糸の赤は血液の赤で、鍵は人の形に似て、大きな頭で小さな肩をしていますよね」

 「この作品では、人と人を赤い糸でつなぎたい、と考えました。アジアで赤い糸は、運命を示します。そして西欧でもゲーテの『親和力』の中には、イギリス軍のロープの中に1本の赤い糸が編み込まれていて、切ったときにどこの軍隊のロープかわかるようになっている、という一説もあります」

 「世界中の一般の方から鍵を募集しました」

 上の写真でもうかがえるように、観客が作品と一体と化している。壁のある一面だけが鏡になっていて、そこに作品の中の自分が映る。見る人と見られるものの一体化とは、見る人がいてはじめて作品は完成する。いったんはそう思った。しかし、人は絶えず動き、人も入れ替わる。ということは、「作品」はその人の「中」にしか存在しない(「中」は頭のなかでもあるし、この空間を歩いたという経験でもある)。そう考えると、塩田さんが作った一見作品らしきものは作品の一部でしかない。

 空間系の作品であれば、すべてこうした特徴を持つのかというと、そうとも限らないような気もする。それが塩田さんならではなのだろう。誰にでもできるわけではなさそうだ。

 この部屋の中を歩いていて、もしかしたら、ぶら下がっているたくさんの鍵の中にかつて失くした鍵があるかもしれない、という気持ちさえ湧いて来た。同時に、この中で寝たら、どんな夢を見るのだろうか、とも。


 作品諸元:制作1週間、鍵15,000個、毛糸3,000ロール(=60km)、扉5つ。

 入場券の裏面にこんな文章があった。「本展は写真撮影が可能です。フェイスブックやSNSにご活用いただき本展のPRにご協力ください」。終了後になりましたが、PRしました、ハイ。



 行きに横浜市営バスを使った。その料金箱(メーカーはどこだろう)が複雑怪奇。ICカード以外の人にとってはむずかしい。なんとかしてあげたいという気にさせる。
 カード用はICカードのタッチパネル、磁気カード型1日乗車券の挿入口(「専用入口」の表示)。現金用は2カ所ある。「硬貨と回数券」「千円札用」。前者には「520円の方(かた)は20円を先に入れてください」と書かれている。500円を先に入れると両替してしまうのだろうか。と、あとで気づいた。

2016/10/08

新宿で

建築学概論」を見る。このを読むと、もう一度見たくなる。

 韓国の映画は現在と過去を交錯するものが多い。見る側も、自分の現在と過去を交錯させられる瞬間がある。

 久保田桂子さんの「記憶の中のシベリア2作。「祖父の日記帳と私のビデオノート」「海へ 朴さんの手紙」*。

 10年もかけて作られた映画。それがたった1時間で見られる。ありがたい限りだ。スクリーンには、蟻、青蛙といった小さな生命、浜辺の石のような小さな存在が大きく映し出される。そのひとつ一つがひとり一人の人間のように見える。矩形に近いスクリーンは、人を窓から見ているような気にさせる。あたかも目前で起きているようで、遠くの出来事に見えない。



 朴道興さんは軍隊で一緒だった親友、山根秋夫さんに手紙を出す。朴さん曰く「私ら二名は一心同体だった」。しかし返事が来ない。その届かない手紙を手に、久保田さんは歩く。山根さんの住所は広島県秋田郡。秋田郡がどこなのか判明しない。そのうちに秋田は安芸のことであることに気づき、山根さんにたどり着く。

2016/10/07

名前どおり……7 「前人未到のことをするように」

17歳・畑岡奈紗、アマチュアで国内メジャー初優勝
(The Huffington Post  |  執筆者:吉野太一郎 投稿日: 2016年10月2日)

■高校3年生、名前の由来はNASAから
 畑岡奈紗は、ゴルフダイジェストによると「前人未到のことをするように」と、アメリカ航空宇宙局(NASA)にちなんで名付けられた。ゴルフ場勤務の母親の影響で11歳でゴルフを始めたが、本格的に始めたのは中学3年で、中嶋常幸が指導する「ヒルズゴルフ・トミーアカデミー」に入門した。

 両親の名前は、博美さん、仁一さん。

東京新聞「筆洗」2016年10月6日
 ゴルフで「プロより強いアマチュア」といえば(略)日本においては伝説のアマチュアゴルファー、中部(なかべ)銀次郎さん(1942~2001年)である。(略)プロゴルファーの青木功さんが言っている。中部さんがプロ入りしていれば「30勝はしていただろう」。中部さんも目を細めるか。17歳のアマチュアによる歴史的勝利である。日本女子オープンで茨城県の高校3年、畑岡奈紗さんが優勝した。優勝の最年少記録を塗り替えた。しかも、メジャー大会での快挙。スターの誕生である。最終日の最終ホールで決めた4メートルの下りのパットに唸(うな)ったファンも大勢いるだろう。比較することさえはばかられるのだが、未熟な「月一」のゴルファーたちは下りの恐怖に「ノーリーチ、ノーカップイン」(届かなければ入らぬ)の格言を忘れ、だいたいショートする。それを「外すイメージはなかった」とは恐れ入る。お名前は米航空宇宙局のNASAにあやかったと聞く。目標は全米女子オープンと東京五輪金メダル。(略)


2016/10/06

楽しみな70歳


 前期お世話になった清水さんと、内山さんという人のお店(左写真)で打ち上げ。

 中に入ると、そこはタイ。タイに行ったことはないけど、確実にタイ。インテリアや厨房の雰囲気、中にいるコックさん、元気なスタッフ。すべてがタイ。行かなかったけど、トイレもきっとタイだろう。

 食事は、鶏とサツマイモのイエローカレー。落花生も入っていて、サクッとした食感がいい。辛くなくコクのあるスープは、タイ米によく合う。

 やがてお客さんがどんどん入って来て、いつの間にか満席。大半は予約客のようだ。

 しっかり食べ、たっぷり話して、店を出ると、そこは日本。だった。時差もない。

 このお店、ライブもある。こんどはそれねらいでタイに行こう。

 清水さんにいいことを教えてもらった。彼はことし70歳。「周りの人から言われて、本当かな? と思っていたけど、本当だよ!」。「70歳をすぎると、楽になれる」。

 ボクはじき65歳になる(なによりも本人がビックリ)。70までには5年あるが、楽(ラク)の予感はある。いろいろ気を遣わなくなった(以前からそうだよ、と突っ込まれそうだけど)。ゼミでもがまんしないで、言いたい放題している。

 いまの目標は70歳。

 さて忘れないうちに書いておこう、勧められた場所などを。内子座嘉穂劇場住吉神社能楽殿青春18きっぷ、大阪までならバスとか。書き切れない。

■吉祥寺には、パクチーのバオバブもある。

2016/10/05

名前どおり……6 「その名にちなんで」


 潤一郎という名前は、谷崎潤一郎からとった、と母から聞いた。
 本当は父が好きだった吉行淳之介の名をとって、淳之介という名前にしたかったけれど、画数が悪いといわれ、それで潤一郎にしたらしい。
 この名前のおかげで、ぼくは、子どものころから、文学に親しんでいる気持ちを持った。人に自分の名前を説明するときは、必ず谷崎の名前を出した。
 父も母も本を読む人だった。けれど、ぼくは恥ずかしいことに、大学に入るまでは、一般的に「文学」といわれているような作品は、一冊も読んだことがなかった。
島田潤一郎 (2014)『あしたから出版社』晶文社

 学生時代、一所懸命、文学作品を読もうとするが、頭に入らない。ある日、むずかしい本で倒れてしまう。しかし、その後、彼は「本」を作り始める。出版社の名前は夏葉社。ここの本を2冊読んでいた。『かわいい夫』『レコードと暮らし』。
 いい文章を読むと、「あっ、これは!」と思う。自分の頭のなかにあった言語化されていないなにかが、ここに、文章として再現されていることに、震える。ノートに写して、その文章を何度も読む。それは映像や音楽などと違って、読んでいる自分と、分かちがたく結びついている。(略) 本のなかに書かれている文章を通して、読み手は、世界を再体験、ないしは再発見する。(略)は ……世界は、これまでよりも鮮やかに見える。人々は、よりかけがえのないものとして、この目に映る。
同感だ。文章は結果であると同時に、原因にもなる。

 こう抜粋すると、無限ループに入りそう。ミルク缶を抱えた子どもの絵があるミルク缶のように。

■手元にあるのは5刷。3カ月間のあいだでの数値。早い。こんな本が売れるのはうれしい。

 

2016/10/04

作るのは「文字」

鳥海修『文字を作る仕事』。

 著者は1955年生まれ。彼のほうが4年遅く生まれているが、子ども時代の経験が似ていて、懐かしく読めた。

 描写が的確で、当時を思い出した。何機も作ったライトプレーン。竹ヒゴを曲げるのが楽しかったが、そのうち加工済みに変わり、その楽しみがなくなったことも。

 さて、たとえばゴム動力で飛ぶ飛行機を作り、飛ばすまでの場面。
 横10センチ、縦5、60センチくらいの紙袋に「東京号」とか印刷してあり、その袋の中に設計図と一緒にプロペラ、車輪、胴体、竹ヒゴ、リブ、ニューム管、ゴム、飛行機紙などの部品が入っている。(略)左手にプロペラ、右手に胴体の後方を持ち、やや上方に向けて構える。先に左手をプロペラから離すとゴムの力でプロペラが回り飛びたとうとする。少し遅れて右手に持った胴体をかるく押し出しつつ離すと飛行機は勢いよく舞い上がる。

 6/15、NHKの「仕事の流儀」で、筑紫書体藤田重信さんが出て来て、フォントづくりのすごさを知ったばかりだった。細かい修正が続く日々を見ていて、それでも完成する日が来るのから、すごい。

 そして、字游工房の鳥海(とりのうみ)さん。彼のフォントは毎日使っている。ヒラギノだ。新しいMac OS(El Capitan)には游書体、筑紫体が入っているらしい

 本書は、漢字が游明朝体Rで、かなが文麗仮名で組まれている。どちらも字游工房で作られた書体(つまり、自分たちが作った書体で組まれた本である)。漢字とかなでフォントを使い分けるとは知らなかった。そこまでこだわったことがなかったし、そもそもワープロレベルではできない作業だからということもある。

最近気に入っているのが『1493』で使われていたフォント。なんと言う書体だろう。組版を担当した後田(うしろだ)泰輔さんに聞くのがいいのかな。これで本を出せる日が来るだろうか。

■ 好きな書体で原稿を書ける時代が来るとは思いもしなかった。父親が職場から持って来た活字で遊んだ日々が思い出される。鉛だから、身体には悪かったのかもしれない。

 中学生の頃、兄がレタリングの通信教育を受けていた。以前、当時のことをたずねたら、こう返って来た。

「文字は文化そのもの。印刷の源、審美感に堪えるデザインはどういうものかに関心があったように覚えています。今でも書道教室にいきたいと思っています。と言っても時間がありませんが」。

 兄も印刷会社にながらくいた。

■紀伊國屋書店の担当者から回答が届き、本文フォントが判明。OTF筑紫明朝Pro-R。OTFはオープンタイプフォント。

2016/10/03

Rains et al. 2016:CMCとソーシャルサポート

CMCとソーシャルサポート:
サポート成果におけるCMC効果の検証
Computer-mediated communication (CMC) and social support:
Testing the effects of using CMC on support outcomes

Stephen A. Rains
Steven R. Brunner
Chelsie Akers
Corey A. Pavlich
Selin Goktas

Journal of Social and Personal Relationships September 29, 2016

要約
サポートのやりとりに関するCMC利用の効果研究が増えているにもかかわらず、課題は残されている。CMCのサポート可能性である。実験が行なわれた。社会的手がかりの少なさの影響を検証するためである。それ(社会的手がかり)は支持的相互作用の質に占めるCMC効果を規定する可能性があるからだ。参加者はストレッサーについてサクラと話す。その際、対面かCMC経由かのどちらかが用いられた。参加者は情報サポートあるいは情緒サポートのどちらかを受け取った。参加者はまったく同じ支持メッセージを受け取っているにもかかわらず、CMC条件の参加者は相互作用のあと、有意に多くの心配と不確実性解離を感じていた。単独効果は支持メッセージのタイプでも見られた。最適対応モデル同様、情報サポートは、参加者が経験した(制御可能な)ストレッサーに対して情緒サポートよりも有益な成果をもたらした。

Abstract
Despite the growth in research examining the use of computer-mediated communication (CMC) for exchanging social support, there remains much to learn about the support-related implications of CMC. An experiment was conducted to examine the influence of the reduced social cues associated with CMC on the outcomes of supportive interaction. Participants discussed a stressor with a confederate either face-to-face or via CMC and received informational or emotional support. Although they received the exact same support messages, participants in the CMC condition reported significantly greater worry and uncertainty discrepancy following the interaction than participants in the face-to-face condition. A main effect was also found for support message type. Consistent with the optimal matching model, informational support led to more beneficial outcomes than emotional support in response to the (controllable) stressor experienced by participants.

2016/10/02

名前どおり…… 5 「美」

「家族のこと話そう」東京新聞 2016年10月2日

芸術の厳しさ 父に学ぶ

 有紀子という名は三島由紀夫が好きな父が付けました。普通なら小説の中の誰か女性の名前を選ぶと思いますが「せっかく三島という名字やし、ゆきこにしとこか」と。母は反対したらしいですが結局は父の意見が通りました。

 父は本当に三島由紀夫を愛していて、小さいころは三島由紀夫展に連れて行かれたり、文章を書道で写させられたり。小説が何となく私の前に置いてあったりもしました。三島由紀夫を好きになってほしいという父の気持ちが強すぎて、反発する思いもありました。修飾語が多い長文と感じて、父に「簡潔に書けた方がいい作家なんじゃない」と言ったこともありました。

 でも、高校生になって読み直すと、素晴らしく美しい文章と感じ、本当に何が美しいのかを追究した人と考えるようになりました。小説も舞台も、映画も見ました。自分が生き方や哲学なども含めた美を意識するようになったのは、三島由紀夫という人の生き方や、この名前、名付けた父のせいなのかなと思います。

 三島有紀子 1969年大阪市生まれ、映画監督。
(聞き手 寺本康弘)


 お父さん自身も、きっと同姓がきっかけで好きになったのだろう、三島由紀夫を。と思う。

2016/09/30

相模原事件と実名報道

前例主義にならない実名報道を マスコミ倫理懇「思考停止防げ」 
 新聞社や放送局などでつくるマスコミ倫理懇談会全国協議会の第60回全国大会は29日午後、福岡市の会場で分科会が開かれた。事件に遭った被害者が匿名で発表される状況が相次いだことについて、参加者から「実名報道を社会に理解してもらえなければ、その都度(マスコミ自身が)必要性を説明しなければならない。思考停止に陥ってはならない」との声が出た。
 実名報道がテーマの分科会では、7月の相模原障害者殺傷事件で、警察が遺族の意向を受け、殺害された19人を匿名にした事例を毎日新聞の青島顕記者が報告。「前例主義にならず、実名報道の必要性を考え続けることが大切」と話した。
(共同)


世界』10月号
小特集「相模原事件の問い」
「語り」に耳を傾けて──分岐点を前に 
熊谷晋一郎 (小児科医、東京大学) 
福祉番組の制作現場から相模原事件を考える 
熊田佳代子 (NHK) 
施設で生きるということ──施設生活者の戦後史からみえるもの 
有薗真代 (京都大学)

 同じような事件の発生場所が障害者施設でなければ、被害者の氏名は公表されたはず。と考えると、今回の匿名報道は障害者差別を促す可能性がある。
 熊谷さんは、匿名報道の背景を考えるうえで、当事者の声を紹介し、障害者の置かれている状況の変化を指摘する。名前を公表してほしくないと思った家族は、いまや「全ての命は存在するだけで価値があるということは当たり前ではないので」と語る。それまでは亡くなった弟といっしょに生きようと決めていた女性の声だ。他方、障害者運動にかかわってきた人の中からあがった匿名報道批判の根幹は「名前のない存在として覆い隠されようとしている」ことにある。

 熊田さんは「いずれは自分に返ってくる」という小見出しのもと、藤井克徳さんの発言をひく。
 障害者を排除すると、次に病人、次に女性と次々と弱い者探しが広がっていく。これくらいならと見過ごしていくとそのうちに歯止めがきかなくなる。どんなことにも前触れがあり、障害者に問題が表れやすい。これが前触れの警鐘だととらえることが大事だと感じた。
貧しい人 病人 非生産的な人 いて当たり前だ」。ミュンスター司教のクレメンス・アウグスト・フォン・ガーレンのことばだ。

 施設から地域生活への移行という「脱施設化」は、いま障害者基本計画に「社会福祉予算の削減を正当化する言説」として盛り込まれ、施設解体が先行しつつある。「地域で自立生活を行なうことと、施設・グループホームで暮らすこと。このふたつを同時に肯定するための論理と戦術が必要である」(有薗さん)

2016/09/28

「好ましく思われていなかった」

1869年、横浜。
 (イギリス人がやっている飲み屋で、モーザーは給仕として働いていた)客からは「チャーリー」と呼ばれていた。私の名前のミヒャエルは、英語ではマイケルと言う。アイルランド人風の響きを持っていたため、他のイギリス人やアメリカ人には好ましく思われていなかった*。私をこの名前で呼ぶことは、彼らの国民感情を害することであったのである。そのため、ずっと「チャーリー」という名前で知られ、日本を去るまでの7年間、その名前で通った**。
(注)* アイルランドは1801年にイギリスに併合された。** 「7年間」は誇張と思われる。
 アルフレッド・モーザー(宮田奈奈訳)明治初期日本の原風景と謎の少年写真家:ミヒャエル・モーザーの「古写真アルバム」と世界旅行』から。著者はアルフレッドの孫にあたる。
名前を国家を体現する。それゆえ支配の対象となる。


Charlie: Diminutive or feminine form of CHARLES



2016/09/26

名前でつくる


 同姓同名と言えば、田中宏和運動がある。目標は、165人の田中宏和集会のギネス記録達成とか。

 かたや、こんな発想もある。

 「全国のまりさんでマリに着物を」という計画が進んでいる(東京新聞2016年9月26日朝刊)。
 いいなと思ったのが、参加資格を同姓/同名に限っていないこと。「マリに思いがある人も歓迎」。



徳谷という、めずらしい姓がある。「そもそも、この徳谷姓は日本に約800人しかいないらしく、同姓に出会ったことは過去一度だけ」。そのルーツを調べにいったら、思わぬ発見。徳谷柿次郎さんの報告

2016/09/25

こんな人がいた

 しばらく留守にしていた。

 新聞のまとめ読み。ふと思ったのは、何日分以上たまったら、読むのをあきらめるのだろうか、と。

 さて、9月20日の東京新聞。
「安保法成立1年…再び国会前に立つ」
八嶋勲さん(72)。
 「自分の勇ましい名前は、戦争で手柄を立てることを期待されたから」。横須賀市在住の八嶋さんは、地域活動で中学生らと交流する機会があると、自分の名前の由来を話している。抗議デモだけでなく、普段から身の回りの人と安保法の問題点を話し合うことが大切だと感じているからだ。 (略)
 改憲を求める声の強まりも感じるが「勇ましい名前を付けなくてもいい平和な時代を続けるためにも、一人一人が反対の声を上げていかなければ」と口調を強めた。
 「デジタル大辞泉」には、こうある。

「勲」
 いさお りっぱに仕事をなしとげたこと。名誉ある功績。いさおし。
 くん[漢字項目]1. 国に尽くしたりっぱな功績。手柄。いさお。「勲位・勲功・勲章/偉勲・殊勲・戦勲・武勲」2. 手柄をたてた人。「元勲」3. 勲位。勲章。「勲一等/叙勲」

2016/09/22

名前負け!?

 2016年度「国語世論調査」が発表になった(国語ではなく、そろそろ日本語としてもいいのでは)

 その中に慣用句の理解という設問がある。さらに、その中の一つが「名前負け」。正答が83.4%、誤答が9.3%。

 誤答とは「名前を聞いただけで気後れしてしまうこと」。選択肢を考えた人もすごいが、9%の人が「名前で負ける」ことと考えている。
 残りの回答は、両方の意味がある3.5%、これ以外の意味である1.7%、わからない2.1%。
年齢別では、本来の意味である「名前が立派で中身が追い付かないこと」は50 代が最も高く90.3%、「名前を聞いただけで気おくれしてしまうこと」は16~19 歳が23.8%と最も高い。

 おもしろかったのが「やる/あげる」問題。
(ア)植木に水をやる 59.8%、(イ)植木に水をあげる33.6%。(ア)と(イ)どちらも使う6.4%。「あげる」派が増えている 。
 年齢別に見ると、「水をやる」は 30 代(41.6%)、40代(42.6%)を除いて5割弱~7割台後半、特に 60 代以上で他の年代より高く7割台。「水をあげる」は20 代~40 代で高く、5割前後、30~40 代では「水をやる」を5~10 ポイント上回る。

2016/09/21

社会心理学会


 先週末は社会心理学会で関西学院大学へ行っていた。大会参加は3年ぶり。
 今回は「写真はイメージです。」発表ポスター関連資料はサイトに掲載)をポスターで発表。
 タイトルは、チラシでよく見かける、あのフレーズである。こうした断り書きを業界では「エクスキューズ」と呼ぶらしい。
 「写真はイメージです」の制度的起源ははっきりしている。1993 年 4 月から、旅行業者は旅行業公正取引協議会 の決定にもとづいて、「旅行地の旅情を表現するために写 真などを使用する時は『写真はイメージです。』」と表示 するようになった。
 それ以降、この種の断り書きは増加の一途である。内容も分野も多岐にわたり、うんざりしている人も多いのではないだろうか。
 増加の背景としては、販売側の免責、購入客からのクレーム回避からはじまり、社会的文脈として、非寛容、関係分断も影響していると思っている。エクスキューズの状況は社会変化の指標に使える。
 予想に反して、いろいろな人が立ち寄ってくれた。消費者行動研究者、院生3人組、旧知の友、……。
 そうそう、今回はすてきなサプライズがあった。大会委員長から似顔絵の缶バッジを頂戴した。作者はT画伯。

 最近、コミュニケーションや社会心理学の本でよく目にするのがLCM言語カテゴリーモデル、Semin and Fiedler, 1988)
 ある人の行動を記述する際、「動作」寄りの(記述的行為動詞)表現と「行動主」寄りの(形容詞)表現とがある。前者には「足をぶつける」、後者には「乱暴だ」が当てはまる。両者の中間に、やや動作寄りの(解釈的行為動詞)表現と、同じくやや行動主寄りの(状態動詞)表現が存在する。「雑に歩いている」「いらいらしている」がそれぞれ相当する。これらの4段階は抽象度の程度でもある。
 日本語の論文では、菅 さやか・唐沢 穣 (2006) . 人物の属性表現にみられる社会的ステレオタイプの影響 社会心理学研究, 22(2), 180-188、唐沢 穣・菅 さやか (2008). 対人認知の心理過程と言語表現 益岡隆志(編)叙述類型論 pp.139-160. くろしお出版、がある。




2016/09/18

Liu 2016:FBのフレンドの書き込みと社会比較

Do Our Facebook Friends Make Us Feel Worse? A Study of Social Comparison and Emotion
FBのフレンドはわれわれの気分を悪化させるか? 社会比較と情緒の研究
Jiangmeng Liu, Cong Li, Nick Carcioppolo and Michael North
Human Communication Research
Volume 42, Issue 4 Pages 507 - 661, October 2016

 人はたびたび自分自身を他者と比較し、自己理解を深めようとする。この過程は社会比較と呼ばれる。本研究では、人はどのようにして社会比較をFB上で行っているか、FBの「フレンド」の書く内容を見ることは、その人の情緒にどう影響するか、が検討されている。被験者間3要因実験が行われ(比較方向X親密度X自己評価)、163人の成人が参加した。その結果、3要因間の有意な交互作用が明らかになった。自己評価の高い人は、親友のネガティブ情報よりもポジティブ情報で、より幸福と感じる。しかし、その情報が単なる友人のものであると、逆の効果、つまりネガティブ情報のほうが幸福と感じる。親密度による差は、自己評価の低い人には見られない。
 People often compare themselves to others to gain a better understanding of the self in a process known as social comparison. The current study discusses how people engage in a social comparison process on Facebook, and how observing content from their Facebook friends may affect their emotions. A 2 (comparison direction) × 2 (relational closeness) × 2 (self-esteem) between-subjects experiment was conducted with 163 adult participants. The results revealed a significant 3-way interaction such that people with high self-esteem would be happier receiving positive information than negative information from their close friends, but the effect would be the opposite if the information was from a distant friend. There was no such difference for people with low self-esteem.

2016/09/16

祖母の願い

 民進党の代表選で蓮舫さんが当選。その彼女の名前の由来が選挙「演説」で語られた。

(東京新聞2016年9月16日朝刊)
名前のは平和の象徴
 台湾に生まれ、激動の時代を生きた祖母は、女の子の孫が生まれたら蓮(はす)という字をつけてほしいと強く願った。蓮は平和の象徴。平和への願いを込めてつけてくれた蓮舫という名前に私は誇りを持っている。
舫は「もやい」。デジタル大辞泉によれば、もやうは「船と船をつなぎ合わせる。また、杭(くい)などに船をつなぎとめる」こと。したがって、「蓮舫」とは平和をつなぎとめるといった意味になりそうだ。


 奇しくも政党名も台湾の民進党(党首、蔡英文)と同じ(ただし台湾は民主進歩党の略だが、日本のそれは省略ではなく、民と進むなのか、民主と進歩なのか)。英語名を見たら、それぞれDemocratic Progressive Party、Democratic Party。日本の「民進」は「民主」だけだった。

2016/09/15

3つのあとがき


 訳者経歴に「東京大学経済学部を病気のため中退」とある。ずいぶん個人的なことを書くのだなあと思ったら、つづけて「北欧児童文学の翻訳家として活躍したが、1969年没」と書かれている。そうだったのか。であれば、ふれずにはいられない。計算すると、41歳という若さだ。

 訳者自身の「解説」がある。それによれば、この本(左写真)は全集最古の作品。

 山室静さんの「附記」にはこうある、訳者は「ふしぎな熱病にかかって、声もつぶれ……」、それでも「いくらか病気がよくなると」「スエーデン語の学習をはじめ」「ついにマスター」。「活躍のまっ最中に」「自動車にはねとばされて不慮の死をとげられたのです」。
 病没とばかり思っていたので、さらに訳者の無念さが伝わってくる。

 最後に、冨原眞弓さんの「ムーミン谷の魅力 1」が付いている。
ほかの生きものが自分とおなじ考えでなくても、だれもふしぎだとは思わないし、批判めいたことも言わない。個性だとか権利だとかと大上段にかまえなくても、だれもがあたりまえに自分でいられる。だからムーミン谷はユートピア(ありえない場所)なのだ。
 本書は、「解説」(1969年執筆)、「附記」(1978年執筆)、「ムーミン谷の魅力 」(2011年執筆)と、3段かまえのていねいなあとがき。いずれも読みがいがある。

ヤンソン 下村隆一/訳『ムーミン谷の彗星』講談社文庫。

2016/09/10

しわしわネーム

キラキラは気の毒?増える「しわしわネーム」
芸能人の名前にもじわじわ異変

2016/9/10
「週刊女性PRIME」編集部

 古風な名前は“キラキラネーム”とは反対に“しわしわネーム”と呼ばれ、黒木華や木村文乃、野村周平、門脇麦といった俳優陣のほか、リオ五輪で世界を沸かせた男子体操日本代表の白井健三など、多くの有名人がいる。

■全然読めないキラキラネームはいまだ増加傾向だが
■キラキラネームは虐待という人も
■世相も反映されている

壁のトリック


 動く歩道!?

 何かに追われているのだろうか、全員、前のめり。

 もちろん、これはエスカレーターだ。

 後ろの壁のパネルがエスカレーターに対して垂直に貼られていることによる効果。

 天井にある監視カメラのポール、右下の、斜めに見えるポスターが本来の垂直方向を示している(下の写真)

 エスカレーターの角度は日本の場合、35度まで認められている。標準は30度らしい。

 写真はソウル地下鉄。測ると30度ぐらいだ。 

 こういう張り方の壁は滅多に見かけない。


 ところでソウル。青空がスッキリしない。大気汚染が深刻なのだろうか。

2016/09/08

ソウルの国立墓地


 ソウル市内の南に「国立ソウル顕忠院」という国立墓地がある。
 案内によれば、143万平方メートルの敷地に朝鮮戦争戦没者(全体の8割)を中心に、5万4千人が埋葬、16万9千人が眠っている。国葬になった歴代大統領も埋葬されている。
 写真は一般戦没者の区画で、一人ひとりに生花が飾られている。墓碑の多さ、そして手入れに圧倒される。金大中のお墓も見たかったが遠すぎて、たどり着けなかった。
 院内の一画に「靖國橋」という小さな橋がかかっていた。説明がハングルで書かれていて、内容はわからなかった。
 ここは、日本で言えば「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」のような施設なのだろうが、埋葬対象者は戦没者に限られている。したがって今後も墓碑は増えない(はずだ)。日本の歴代首相をお参りしたいと思っても、どこにあるのか、探さないとわからない。
 千鳥ヶ淵戦没者墓苑のサイトを見ていたら、こんなページに出くわした。
 「落とし物のお知らせ」。不思議なページだ。

2016/09/03

似ている

 左は目白駅構内、右は明日館ホール
 目白駅の写真はエスカレータの案内板を撮りたくて写したもの。帰ってから見たら、明日館の雰囲気に似ている。
 屋根(天井)、そしてステンドグラスのようなガラス窓。そっくりだ。明日館の最寄り駅だからだろうか。どこかに大谷石を使ってくれたら、きょうだいのよう。いまの駅舎は2000年に改築している。


 


 明日館の教室では、日本の学校初と目される緑の黒板の紹介があった。緑はロイドの選択か。写真でわかるように、壁に埋め込まれ、枠が長押のように見える。建物の完成、と同時に開校したのが1921年。関東大震災の直前だった。

 当時の自由学園の規模は手頃。最初は、普通科26名(小学校相当?)、翌5月に高等科59名が入学している。

 遠藤新の建物を見るのは葉山についで2つめ。

 学校は毎日を過ごす空間。使い勝手にも視覚的にも快適に越したことはない。室内は木が多く使われていて、落ちつく。什器類もオリジナル。

 意外だったのは、写真で見るよりも何重にも小振りなこと。施設の天井は高いものと思いこんでいるからだろうか。明治村で帝国ホテルを見たときもそうだった。ミニチュアかと思うほどの大きさだった。天井が低い。

2016/09/02

名前に「ヒ」「ミ」「ツ」

高畑容疑者の実父・大谷亮介が「裕太」に忍ばせた“暗号”とは
日刊ゲンダイDIGITAL 9月2日(金)9時26分配信

「独身の大谷さんに子供ができました。その証拠と言ってはなんですが、大谷さんは裕太君の中に“自身”を潜ませた。「裕」「太」を分解すると、『衤』『谷』『大』『、』となり、コッソリ『大谷』の2文字」と語るのは「事情に詳しい演劇関係者」。
名前ではなく、名字。痕跡としての名前。
「その証拠と言ってはなんですが」があやしい。

2016/09/01

Parents on baby name regret

BBC News Japan 2016年9月1日

 子育てネットワーキングサイト「Mumsnet」の調査結果が発表された。

 子供がいる 1362人(Mumsnetユーザー:女性)の18%が、子供につけた名前を後悔していたが、実際に名前を変えたのは2%にとどまった。

 「ありがちすぎる」が後悔理由として最も多く(25%)、以下「どうもしっくりこない」(21%)、「もともと好きな名前ではなかった。押し切られた」(20%)と続き、「名前のつづりや発音が子供に負担になる」(11%)という理由もあった。

 「Mumsnet」の創設者ジャスティーン・ロバーツさんは、「子供の名前を決めるのは、初めて親になる人にとって親として最初の作業のひとつです。なので、名前で後悔するのは子育ての練習としては最高だとも言える。がんばっていろいろ調べて、一度に何人もの人を満足させようとして、結局はうまくいかないのですから」と話す。

 「それでも大丈夫なんです。ほとんどの子供は、大きくなるにつれてその名前がぴったりくるようになるし、どうもしっくりこないなら、ミドルネームやあだなを使うこともできる。極端な場合には、法的に改名すればいい」。

 回答した母親のひとりは、娘エルサちゃんの名前について、「エルサ」が出てくるディズニー映画「アナと雪の女王」が人気になったせいで、後悔し始めたと答えた。別の母親は「うちの息子は自分の名前が大嫌いで、選んだ私を責める」と答えた。別の母親は、自分の娘の名前は生まれて間もなく、「テログループが使い始めてしまった」と認めた。

 英統計局は近く毎年恒例の、イングランドとウェールズで最も人気の高い赤ちゃんの名前一覧を発表する。

 昨年は、イングランドとウェールズではオリバーとアメリアが最も人気で、スコットランドではジャックとエミリーだった。
(英語記事 Nearly a fifth of parents regret baby name - survey


 おもしろい調査だ。日本でもやってみたい。

名前は同じでも

3人の石橋ユウ(小3)が登場する『明日の食卓』。
文字にすると、それぞれ「優」「悠宇」「勇」となる。
後半で、そのうちの一人がいる家庭で「事件」が起きるらしい。

2016/08/31

Riordan and Trichtinger 2016:友人だからといって正確に伝わる訳ではない

Overconfidence at the Keyboard: Confidence and Accuracy in Interpreting Affect in E-Mail Exchanges
Monica A. Riordan, Lauren A. Trichtinger
キーボード上の自信過剰:メールの感情解釈にみられる自信と正確さ

 Gesture, voice, expression, and context add richness to communications that increase chances of accurate interpretation. E-mails lack much of this richness, leading readers to impose their own richness. Three experiments tested the effect of communicator relationship and availability of context on e-mail writer and reader confidence levels and accuracy. Effects of nonverbal and verbal behavior were also investigated. Results showed that confidence levels for both writers and readers were high, yet somewhat unwarranted based on accuracy rates. Further, writers had more confidence that friends would correctly interpret e-mails than strangers, although friends showed no more accuracy. Findings suggest that reliance upon friendship and context, as well as verbal and nonverbal cues, to interpret emotion in e-mail is ineffective, sometimes detrimental.

 ジェスチャーや声、表情、文脈はリッチネスをコミュニケーションに付加する。それは正確な解釈の機会を増すように働く。メールはこのリッチネスの多くを欠き、結果として受け手に自らのリッチネスを強いることになる。3つの実験が検証しようとしたのは、コミュニケーターとの関係が及ぼす効果、送り手の文脈を入手できる程度、受け手の自信度と正確さである。非言語行動と言語行動の効果も検討された。その結果、送り手と受け手双方の自信度は高かった。しかしながら、正解率は高いものではなかった。さらに、送り手は相手が友人であればメールを正確に解釈するはずと強く思っていた。けれども、友人だからといって正確という訳ではなかった。これらの結果が示しているのは、メール上の感情解釈で友情や文脈に頼ることは、言語・非言語手がかり同様に、効果的でもなければ、ときには有害でもある。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/hcre.12093/full
共有情報の多いはずの友人でも正確に読まれる訳ではない。送る相手にかかわりなく、言葉を尽くすことが重要。

2016/08/29

増えている

「陸上自衛隊は、28日、東富士演習場(静岡県)で、国内最大の実弾演習「富士総合火力演習」を一般公開した。観覧チケットには14万7831件の応募があり、倍率は28.6倍。昨年の28.8倍に次ぐ高率だった。招待客と合わせ、2万6849人が見学した。2012年からは毎年、演習場を離島に見立て、上陸して侵攻してくる敵を撃退する想定で演習している。隊員約2400人、戦車や装甲車約80両、大砲約60門、攻撃ヘリなど航空機約20機が参加し、約36トン(3億9千万円分)の弾薬を使った」(朝日新聞)。
 2014年、13万3千応募、倍率24倍
 2013年、11万6千応募、倍率20倍

佐藤正久議員のフォロワーは16万4千。
 ある新聞に参加者の一言が載っていた。「戦車が実際に使われないことを祈っています」。感想はこの人の分だけ。あまりにも紋切り型で毎年使えそう。それとも感想を求められたほうが心得ているのか。そのうちに「実際に使われてしまう」。むしろ、なぜ見に来たのか、それを浮き彫りにした記事を読みたい。

2016/08/26

名前どおり……4「すみ」


 中華料理屋さんで発見。

 朝日新聞の「ひととき」欄が名前がらみだった。投稿主は、○○すみ代さん、70歳。
「すみちゃんの名前は、住み良い世の中を願ってお父さんからつけられたって聞いてるよ」
 子どもの頃、隣のおばさんからそう聞いたことがあった。私は終戦直後の1946年の生まれなので、父の望みはもっともだと思った。 父は若い頃、陸上選手として活躍し、健康そのものだったので兵隊として戦争に参加した。だが、病気になり、外地から戻って来たそうだ。
 その後の長い闘病生活は我慢の連続、耐えて努力して81歳まで誠実に生きた。(略)
 父が亡くなって20年。遺品の箱を開けると、メモが見つかった。
「住み良い すみ世 すみよ すみ代 たぶん生まれた時刻 午后九時十五分」
 そのお陰なのか? 戦後71年、戦争のない時代が続いていることに感謝している。ありがとう。(略)
個人ではなく、社会レベルの「名は体をあらわす」もある。
昨年の卒業生がやってきた。表情が締まり、いい感じ。元気そうで一安心。

名前の番組

きのう、こんな番組があった。ことをきょう知った。

2016年8月25日(木)[NHK総合]19:30 - 20:43
NHK「古舘伊知郎の日本人のおなまえっ!」。
企画の背景は奈辺に。

ネットに動画があった。

2016/08/23

漢字をひらがなに変えたら……

 待合室で新聞を読んでいたら、名前にふれた記事があった。ねじめさんのインタビュー記事だ。

朝日新聞夕刊 2016年8月23日
人生の贈りもの:わたしの半生
詩人・小説家、ねじめ正一(68)[2]

 ――本名は禰寝(ねじめ)正一。
 言葉へのこだわりは名字から始まりました。初対面の先生がとにかく読めない。「俺だけ佐藤か鈴木に変えてくれ」とごねて、おやじにぶたれました。詩が初めて「現代詩手帖」にのったとき、ねじめに変えたら妙に落ちつきました。漢字のままだったら、詩も小説も違うものになっていたかもしれません。
 ルーツは大隅半島の豪族・禰寝氏だそうです。(以下、略)

 「現代詩手帖」に載ったのは何歳のときなのか知りたかったが、ネットでは調べきれなかった。経歴に「1981年、詩集『ふ』で第31回H氏賞を受賞」とあるので、1981-1948=33。つまり、それよりは若い時期だろう。店番姿をときどき見かけるので、たずねてみようか。
 漢字のままだったら、どんな詩や小説を書いていたのだろうか。
 リリアン・テルミ・ハタノさんの『マイノリティの名前はどのように扱われているのか―日本の公立学校におけるニューカマーの場合』の中に、こんな話が紹介されていた。
 在日外国人の子が、名前を「ひらがなで書きたいのに、カタカナで書かないとダメ!」と言われたという。ねじめさんは「漢字で書かないとダメ!」とは言われなかった。

2016/08/22

「すいか」の「オマケ」



 ドラマになっていない分のシナリオが「オマケ」で付いている『すいか 2』。

 旅行から戻って来た教授こと、夏子さん(浅丘ルリ子)

 「私には、死というものはないの。死んだ瞬間、死んだと考える私はすでにいないからです。(みんなを見回して)いいですか、私にあるのは、生きることだけです」

 「居てよしッ!」の木皿泉さん、2003年のシナリオだ(12)。



ドラマはファッションがすてきだった。制服のベスト裏の刺繍も。家もいい。住人も、食事も。

2016/08/21

Doing History ! 座談会


福岡市美術館クロージング/リニューアル特別企画展の企画

歴史する! Doing History !

https://twitter.com/doing_history/status/767192178305093632

話し手は3人。川端浩平さん、岸政彦さん、対照的な二人。三番目に手塚夏子さん。

保苅実さんという人を初めて知った。34歳で夭逝。歴史学者のようで文化人類学者。展覧会名も彼の言葉から。

キュレーターは正路佐知子さん。

構造上、無口だったかもしれない

 ネアンデルタール人も原始言語を持っていた。その言葉さえ理解できれば、われわれ現生人類とも会話することができそうだが、居酒屋に誘うことはお勧めできぬ。話は弾まず、あまり愉快な会になりそうもない。というのも、ネアンデルタール人はかなり無口だったと考えられている。おしゃべりなわれわれとは異なり、頭蓋骨や気管、口腔(こうこう)の構造上、複雑な言語音を発声するのが困難で、せいぜい叫び声やうなり声が精いっぱいだったそうだ。ネアンデルタール人と現生人類の脳の重さはさほど変わらぬが、「誰かに何かを知らせる」という能力の低さが、クロマニョン人にのみ込まれ、絶滅した理由の一つという説もある。
(2016年8月21日東京新聞「筆洗」から)

 奈良貴史『ネアンデルタール人類のなぞ』(岩波ジュニア新書)を読もうか。

2016/08/19

稚内、石川、山形、秋田

銀行の本を読んでいたら、「リレバン」ということばが出てきた。
あのヴィレヴァンでもないし。
調べたら、relationship bankingの略語だった。
金利などのハードウェアは各行横並び。差を付けられない。そこで出てきた戦略が経営アドバイスなど相談サービス付き融資(相談は有料)。ねらいは顔の見える関係、結びつきつくり。「選ばれる銀行に」ということらしい。
事例としてあがっているのは、この4行。稚内信用金庫(リスクをとるための「やせ我慢経営」、北國銀行(営業ノルマを捨てた地銀)、きらやか銀行(本業支援というビジネスモデル)、北都銀行(「地域課題解決」で再スタート)。
地域密着ばかり。

2016/08/18

名前どおり……3「波」

「リオ飛び込み代表 板橋 名前に込めた母の思いと献身サポート」
『女性自身』 8月17日6時1分配信

 「まさか娘がオリンピックに出場できるなんて思いもよりませんでした。主人は最近まで、ほとんどルールも採点方法も知らなかったですし……」

 そう控えめな口調で語るのは、水泳飛び込み女子・10m高飛び込みの板橋美波選手(16)の母・美智子さん(45)だ。板橋選手は高校2年生。だが、世界でも彼女以外には誰もできない大技「109C」(前宙返り4回半抱え型)をひっさげ、リオ五輪に臨む。

 “美波”という名前はまさに飛び込みの選手にふさわしいが、両親にとって、この競技は未知の世界だった。美智子さんも父・秀彦さん(47)も、全国大会の出場経験もある柔道有段者なのだ。

 「ですから、『美波』と名付けたときも、飛び込みなんて全く頭になくて(笑)。後づけですが、海の波が光る美しさは心を落ち着けてくれますからね。そんな輝きとともに、美波が見る人を癒す存在になってくれたらと願っています」(美智子さん)。


 お母さんの名前が1文字入っている。

2016/08/17

【インタビュー法】2種類の質問スタイル

Rubin & Kruglanski (1997)から

・質問スタイル
 動作系→動詞の使用「なぜ犬を飼うの?」
 状態系→形容詞の使用「なぜ犬が好きなの?」

・回答パターン
 動作系質問の場合→テーマそのものを答える傾向がある「犬との付き合いが、楽しいから」
 状態系質問の場合→対象そのものについて答える傾向がある「犬は、わたしのよき理解者だから」

・騒音とインタビュー場面
 騒音状況は終結欲求(話を早く終えたいという欲求)を高めるため、状態系質問が好まれる。一方、状態系質問はインタビュアーに対する好意度を低下させる→状態系質問は最後に持ってくるようにする

Rubin & Kruglanski (1997)
J Pers Soc Psychol. 1997 May;72(5):1047-60.
Brief encounters ending in estrangement: motivated language use and interpersonal rapport in the question-answer paradigm.

日本語はどうなのだろう。

2016/08/16

「日常」と「自身の生」を肯定する

SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)解散
10時から記者会見。
奥田愛基(あき)さん(24)。
「安倍政権にNOだからだけでやってきたわけじゃない。大事なのは日常と自身の生を肯定すること。どう生きたいかを思い悩み、この社会何なんだと問いかけながら、逃げずに答え続け活動してきた」。
坂東昌子さんのエッセイ「終戦の日に」で知った(東京新聞夕刊「紙つぶて」)。以下、抄録。

デンマーク国王クリスチャン十世はナチスに降伏、代わりに民主制度(議会政治、司法の独立、自由選挙)を守るよう取り付けた。ナチスの敗北後、国王は「われわれが達成したのは国土を空爆から守り、破壊を防いだこと」と、前首相に言ったという。名誉は失ったが、市民を守った誇りが見える。「見かけは無抵抗だが、強い意志に支えられたしたたかな戦略だ。世論が暴力を許さない断固たる姿勢を示すなら、独裁者もむちゃができない。市民に強く支持されたからこそ、国王も断固とした姿勢を貫けた。なぜ、こんなことができたか。私は格差のない国だったからではないかと推察する。どうだろうか」。

この間の経緯は、土野繁樹さんの記事「デンマーク人の勇気 ナチスからユダヤ系市民を守った物語」で詳しく紹介されている。

2016/08/15

すてきな逆転

 穂村弘のエッセイ集『鳥肌が』。

 しおり(スピン)がピンク色の細い糸の3本立て。カバーの人の部分がポツポツがあって、触ると鳥肌(絵:えつこミュウゼ)。

 装丁を祖父江(そぶえ)さんと藤井遥(cozfish)さんが手がけている。

 この本、目次が「あとがき」のあとにある。一瞬、索引かと思ったが、確かに目次。読んだ点検に使える。


フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...