2016/05/25

名前の再発見

東京新聞朝刊の1面コラム「筆洗」で、つかこうへいの名前の話が出て来た。
ペンネームをめぐってこんな伝説があった▼その名をつぶやき続けてみる。つかこうへいつかこうへい…。「こうへい」の「い」の音が「つか」の「つ」に重なり、いつの間にやら聞こえてくるメッセージがある。「いつかこうへい」(いつか、公平)▼在日韓国人二世として差別なき世に願いを込めた名であり、平仮名にしたのは漢字の苦手な母親のため。そう伝わっていた。長谷川康夫さんの『つかこうへい正伝(新潮社)によると、実はたまたま見かけた表札の名を拝借したそうだが、つかさん自身がその説を気に入ったのか、容認していたそうだ。
読まなくては。

2016/05/24

図書館の本

多摩アカデミックコンソーシアムを利用して、ムサビの本を借りた。
その本があまり図書館の本らしくない。
唯一、それをうかがわせるのは背の分類ラベルだけ。
図書館のバーコードは裏表紙の内側に貼られている。
装丁者にはありがたい配慮だろう。
こうなっているのは、たまたまで、この本だけなのか。
それはもう1冊ぐらい借りてみないとわからないが、少なくとも、こういう配慮(そう思える)をした本が1冊はある。
装丁の研究をする人もいるだろうし、せっかくのデザインもぶちこわしと思う人もいるだろうし。

2016/05/23

鼎談本のつくりかた

『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘』
水木悦子・赤塚りえ子・手塚るみ子
タイトルの順番と著者の順番がちゃんと対応している。

編集者(?)をまじえての鼎談。元の本は2010年刊行。

「まえがき」。
手塚るみ子さんが書いている。

つぎに「あとがき」を読んだ。
書き手は赤塚りえ子さん。

水木悦子さんの出番はないのかなあ、と思ったら、
あった。
「なかがき」。
なるほど、そういう手があった。
今年度のゼミのヒントをもらった。

水木悦子さん、「河童の三平」が好き。
赤塚りえ子さん。父は「本当に漫画と本人に矛盾がなくなっちゃった感じ」。
手塚るみ子さん、父の引出しからパンツ……

3パパ、いまや、みな鬼籍に入ってしまった。

2016/05/22

坂井修一さんの書評「人が戦争をやめる日は」

アインシュタインとフロイトが同時代とは思いもしなかった。84年前の往復書簡。
ヒトはなぜ戦争をするのか?』(養老孟司解説、浅見昇悟編訳)花風社

「『奇跡』の国、ぼくの憧れの国であり続けてほしいよ!」
山井教雄『続 まんが パレスチナ問題』講談社現代新書

2015.3.8、ガザの子供たちのため、東日本大震災で被災した釜石の子供たちが凧をあげた。3.9、ガザの子供たちが日本の被災者のため、凧をあげている。
清田明宏『ガザ—戦争しか知らないこどもたち』ポプラ社
(東京新聞から)


コーヒーミルを買う(5/16)。

2016/05/15

鶴川散策

新興住宅地とばかり思いこんでいた。

よく考えたら、ここには白洲夫婦の不相荘があったりする。

駅前には、「香山(かごやま)神蔵宗家」という屋敷もある。いまは閉鎖中で、町田市が2019年度までの年度予算内で順次買収の予定とか。

写真は畦地梅太郎のアトリエだった建物。住宅街の中の別世界。
久しぶりにとんぶりを買った。駅前のスーパーにあった。40年前、嗜好品の聞き書き調査で秋田に行って、そこの温泉宿で出された。食感だけのふしぎな食べ物だった。明日、納豆に混ぜよう。

「文庫化された秀作」

栗原裕一郎さんのテーマ書評(今朝の東京新聞)

佐藤剛『上を向いて歩こう:奇跡の歌をめぐるノンフィクション』小学館文庫(2015年12月刊)
もとはこれ(岩波書店)
▼なぜSUKIYAKIになったのか。音楽評論の「理想型のような名著」と栗原さん。

安田寛『バイエルの謎:日本文化になったピアノ教則本』新潮文庫(2016年3月刊)
もとはこれ(音楽之友社)。
▼ツェルニーに進みたかったけど、バイエルで挫折した。40年前の話だ。手がかりのないテーマに迫る方法論としてもおもしろそうだ。栗原さん曰く「ノスタルジックな寄書」。

赤田祐一+ばるぼら定本 消されたマンガ』彩図社(2016年4月刊)
▼2013年、鉄人社から『消されたマンガ』が刊行されたのちに回収・修正されたマンガの情報が追記されている。ばるぼらさんの名前を久しぶりに見た。「昨今かまびすしい表現規制問題へと連なっている」(栗原)

2016/05/13

二種類の庭園

先週に引き続き、谷根千へ。

週1回だけ開くカフェに行き、その帰り、朝倉彫塑館に寄った。

東洋のロダンとも言われた朝倉文夫のアトリエ兼住居。1935年に完成した。その後、耐震工事を含む修復工事がなされ、2013年、4年半ぶりに再開館した。そのとき、日曜美術館で取り上げられ、いつか行きたいと思っていた。一般公開は朝倉自身の希望だった。没後3年の1967年公開。

天井高8.5mという大アトリエに入ると、巨大な小村寿太郎像が目の前にあらわれる。ワシントン記念堂のリンカーン像のようだ。

日本庭園が中庭にあり、儒教の五常、「仁」「義」「礼」「智」「心」が、5つの巨石で表現されている。自己反省の場として設けられたとか。丸みを帯びた、それらの大きな石は、ヘンリームーアの作品を思い起こさせる。抱擁されるよう。

アトリエの3階の上には屋上庭園がある。案内板によれば、日本最初の屋上緑化らしい。端に大きなオリーブの木が植わっている。こんな大きな木が屋上で育つとはびっくり。

なぜ屋上庭園があるのか。

朝倉文夫は朝倉彫塑塾を開いていた。その必修科目の1つが園芸だった。門下生は屋上庭園で野菜を育てたという。もちろん食料になったのだが、生命の観察もテーマだったのだろうか。いまは野菜はなさそうだ。

2016/05/11

「傍観者民主主義から参加民主主義へ」

内田博文 2015『刑法と戦争』。

サブタイトルの「戦時治安法制のつくり方」にドキリ。
「今、私たちが置かれている状況は、この昭和三年に似ている」。
昭和3年は1928年。満州事変始まりの年である。

「おわりに」は「『人間の尊厳』が法規範化されてきた道のり」がタイトル。
その最終節「傍観者民主主義から参加民主主義へ」からの引用。
戦時治安刑法で処罰されるのは「普通の人々」である。「私には関係ない」という世界はあり得ない。戦争は「普通の人たち」も「普段の生活」にもっとも大きな犠牲を強いる。それは戦時治安刑法による人権蹂躙、あるいは戦時刑事手続による人権蹂躙の場合も同様である。
戦う術が一切奪われるということも戦時下の特徴である。闘う武器があるあいだに喰いとめなければならない。「ルビコン川」を渡ってからでは遅い。渡る前に喰い止めなければならない。闘うために必要な武器は日本国憲法が用意してくれている。このことを記して本書を閉じることにする。
その後の著作『治安維持法の教訓−権利運動の制限と憲法改正』 (2016年刊)。



中川右介『戦争交響楽』。

2016/05/06

原題は「思い出(Les souvenir)」

愛しき人生のつくりかた」(2015年封切り)。

子ども時代の場所を訪れる祖母と、彼女の思い出を共有しようとする孫。出会った頃を思い出し再起を図る両親(郵便局を定年退職した父と教師の母)と、父を支える子。好きになった女性(祖母を通じて再会する)が自分と同じ経験をするという不思議。
  • ジャン=ポール・ルーヴ監督演ずるホテル経営者がいい。目が温かい。
  • 最後に流れるBerryの挿入曲(幸運)がいい。すべては、この曲のためにある。と言い切ってしまうと、それまでがおまけのようになってしまうので、あまり強調はしない。
  • 登場人物の数だけ主人公がいる。
邦題の解答は原題というしかけ。
フランス語のsouvenirは思い出なのに、英語になると「もの」になる。「本人が出来事、旅などを思い出すきっかけとなる品」。

2016/05/05

こどもの日

今朝の東京新聞一面。

子どもの幸せ守る支援の輪
 こども食堂各地で広がる 「安心」育む場に

3人家族(両親と子ども一人)の場合、平均月収が17.6万円を下回る家庭の子の割合を子どもの貧困率という。それが2012年(これが最新データ)で16.3%。過去最高の数値である。

できることから始める。

日本は12.6%」主要国の子ども比率(不破雷蔵さんのブログ)
重五(ちょうご)という言葉を初めて知った。

2016/05/04

説明できない状況

区立図書館のカウンターでの出来事。

返却窓口で本を返すと同時に、予約本を借りた。手続きが終わって、離れようとしたら、すぐ後ろに並んでいたボクぐらいの歳の男性が、係員に向かって「ここ返却窓口なんだよね」と確認するような抗議。係の人が「すみません」と言うのと同時に、その人は出て行った。

カウンターは一応、返却と貸出に分かれているが、待っている人の数に応じて、そのカテゴリーに関係なく処理してくれる。返却と貸出、両方の人に対しては、連続してやってくれる。

知ってか知らずか、急いでいたのかそうでないのか、わからないけれど、はじめて遭遇した。係の人の「すみません」は、言い慣れた感じだった。こういうコウギはよくあるのだろうか。やるせない気持ちで図書館を出た。せめて、ボクに言ってほしかった。であれば、説明したのに。

2016/05/02

グリーン・アート

ギャラリーをめざして歩いていたら、少し先でカップルがマンションの入口を撮っている。何か変わったものでもあるのだろうか、それとも凝った玄関なのだろうか。

ボクも覗いてみた。が、ごくふつうの玄関で、撮影価値はどこにあるのだろう。不思議だ。

ちょっと見上げてみた。

わかった。

マンションの名前である「グリーン○○」の「ー」から草が生えているのだ。誰かが植えたのだろうか、と思うぐらい決まっている。「ー」がベッドのよう。

たまたまマンションの管理人らしい人が出て来たので、たずねた。

気がついたら、生えていたという。このマンション、近々改装するらしい。

「でも、これだけはそのままにしてほしいわねえ」

それにしてもできすぎ。

匿名のままでは死ねない

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