2017/02/24

Dienlin, 2017:対面、IM、SNSの人生効果

強化なのか置換なのか:対面、IM、SNSでのコミュニケーションの相互関係、孤独感と生活満足度への影響
Reinforcement or Displacement? The Reciprocity of FtF, IM, and SNS Communication and Their Effects on Loneliness and Life Satisfaction
Tobias Dienlin, Philipp K. Masur and Sabine Trepte
Journal of Computer-Mediated Communication
Early View (Online Version of Record published before inclusion in an issue)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jcc4.12183/full

要旨
SNSコミュニケーションないしIMは対面コミュニケーションを増加(強化)させるのか、その代わりをするのか。これら3種類のチャネルは孤独感(例、I feel excluded)や生活満足度(例、I am satisfied with my life)にどう影響するのか。時間交差モデルSEMをドイツの縦断的代表サンプルに適用した結果、SNSコミュニケーション頻度は半年後の対面頻度とIM頻度の両方を増加させていた。また、IMは半年後のSNSコミュニケーションを増加させていた。対面とSNS、IMいずれも孤独感に影響を与えなかったし、対面とIMは生活満足度を左右しなかった。しかしながら、SNSでのコミュニケーションはわずかながら生活満足度を高めていた。このように、データはSNSやIMで話すことの主効果は強化であり、SNSでのコミュニケーションは半年後の生活満足度を促す可能性があることを示している。
Abstract
Does communication on social network sites (SNSs) or instant messengers (IMs) reinforce or displace face-to-face (FtF) communication, and how do the 3 channels affect loneliness and life satisfaction? Using cross-lagged structural equation modeling in a longitudinal and representative sample from Germany, we found that SNS communication increased both FtF and IM communication 6 months later. Likewise, IM communication at T1 increased SNS communication at T2. FtF, SNS, and IM communication did not affect loneliness, and FtF and IM communication did not change life satisfaction. However, communication on SNSs slightly increased life satisfaction. Thus, the data indicated that conversing via SNSs and IM has a mainly reinforcing effect and that communicating via SNSs can enhance life satisfaction several months later.



対面コミュニケーションは半年後のどのコミュニケーションも増やしていない。対面コミュニケーションは恒常的だからだろう。少なくとも調査対象となった層では。

2017/02/13

トーベ・ヤンソン、姓と名

厚くて、読み終えていないが、途中途中で、名前の話がでてくる。

 男ばかりの6人きょうだい。トーベは、きょうだいたちがあまりにもアトスと違うことに驚いた。

 「この中ひとりの哲学者を誕生させたなんて、染色体の見事なことといったら!」。

 トーベにとってはアトスの名前が、母親が大好きなデュマの小説『三銃士』のリーダー的存在である銃士アトスからきているというのも愉快だった。そして名は体を表す。ぴったりの名前になったのである(※小説の登場人物の名前を付けるのは初めて聞く)

 1943年、トーベはアトス・ヴィルタネンと知り合う。哲学者で政治家、新聞記者の彼を好きになる。トーベはトーベ・ヤンソン。ムーミンの作者。

 トーベの母親は1882年、スウェーデン生まれのシグネ・ハンマルステン。牧師の子で6人きょうだいの2番目。挿絵画家。1900年の国勢調査によれば、「家事手伝い」と登録されていたという(※国勢調査の回答をみることができる!)。若い頃からハムと呼ばれていた。父、ヴィクトル・ヤンソンは1886年、フィンランド生まれ、彫刻家で、彼は子供の頃からファッファンと呼ばれていた。子供たちは両親を、そう呼んだ。どちらもあだ名である。由来は諸説あるらしい。

 フィンランドとスウェーデンの名前事情はわからないが、あだ名は社会習慣化しているのだろう。

 彼女は絵画でもサインはトーベで通してきたが、1960年前後から苗字のヤンソンにした。
 「『トーベ』はムーミントロールやイラストレーターのトーベにどうしても結びつくが、『ヤンソン』であれば誰であるかが特定されにくい。苗字の『ヤンソン』を筆名とすることで、ムーミンの作家というイメージを投げ捨て、新たな境地に身を置きたかったのである。こうして、絵画の世界でトーベは『ヤンソン』と名乗ることとなった(が、しかし、イラストの世界では『トーベ』で描き続けていた)

ボエル・ウェスティン(畑中麻紀・森下圭子訳)トーベ・ヤンソン』講談社。



3月6日読了。ムーミンシリーズを読んでみよう。来日時のようすが記念写真付きで出てくる。出版関係者が硬い表情をしている。

2017/02/12

龍之介と言えば芥川

遠藤龍之介氏は遠藤周作の長男。彼は遠藤が芥川賞を取った翌年(1955年)に生まれたので、「まだ興奮冷めやらぬ時期だったのだろうなと想像いたします」。
 「他の賞を取って、遠藤三十五とか遠藤乱歩とかにならなくてよかったと思います」。
 芥川比呂志さんが家に来られたときがあって、「父が私を呼びつけて、『龍之介は本当にダメだ。龍之介はなってない、バカモノだ!』。だんだん芥川さんが嫌な顔に……。最後はほんとうにもう苦虫を噛み潰したような顔になった芥川さんをいまだに忘れられません」。
」51巻2号 座談会 文士の子ども被害者の会(前編)



こういう命名法もある。

2017/02/09

アーティストプルーフ

先日、大きな大きな写真作品をもらった。

気軽に「サインが欲しい」と言ったところから話は始まった。周囲の余白がほとんどないので、裏書きで、と思っていたら、作品だから「表にしか書かない」。

つぎにアーティストプルーフということば。

「これはアーティストプルーフなので、エディションナンバーは付けない」。アーティストプルーフとは作家保存用という意味。3点まではこうしてもいいらしい。

筆記用具も鉛筆。なぜ、鉛筆なのか。

「黒鉛は安定していることと、筆圧による跡が残るため、たとえ黒鉛が取れても判読できる」。作品の雰囲気も損ないにくい。「今度あげるね」。

たった数分のやりとりだったが、その世界には、その世界の流儀がある。どんな作品か、見に来てください。

2017/02/08

名前どおり……9 「修」かな

私に「修」という名前を与えた医師でありながら、彼女(眼科医の伯母)は女性として自由に生きている。「修」という名前にとらわれない逸脱した生き方を、彼女自身が示していた。そんな両面性も、私にどこかモデルとなったように思います。 
現在、私が「きたやまおさむ」という平仮名の名前を使用しているのも、そうした動機(引用者注:フォーク・クルセダーズ時代の「北山修」という固定イメージを取り払いたいという気持ち。ソロアルバム『ピエロのサム』は「キタヤマ・オ・サム」名義になっている)によるものです。平仮名にすることで、音が強調され、文字の持つ有意味性が薄れていくように思います。「きたやまおさむ」になることで、私はずいぶんと気が楽になれたような気がします。
というくだりを読んだばかりだった(『コブのない駱駝』岩波書店)

 きょうの夕刊に、彼が最終講義をしたという記事が載っていた。講義自体は昨日ではなく、2/4だったらしい(「朝日」に予告が載ったようだ)
北山修さんが白鴎大で最終講義「包容力が今、社会で一番重要」(東京新聞2017年2月8日夕刊)
  「戦争を知らない子供たち」「あの素晴しい愛をもう一度」など数々の名曲を作詞した音楽家で、精神科医である白鴎大の北山修副学長(70)が、3月末の定年退職を前に小山市の同大で公開最終講義を行った。学生に加え、一般聴講者に向け、「不確実なものや未解決のものを受容する力」の意義を説いた。(吉岡潤)

 「修」には、「精神をおさめととのえる。学問・技芸などを身につける。正しくととのえる。おさめる」という意味がある。彼の場合は「名前どおり」ではなかったと述懐するが、名前は意識されていた。単純な反発でもなく。

 北山修は九州大学でも最終講義を行っている最終コンサートも)。65歳が定年だからだ。



 この本は、多面性の受容、多面性の勧めでもある。多面性は名前の表記でも実現できる。試しに書いてみる。かわうらやすゆき、カワウラヤスユキ、Yasuyuki Kawaura。

2017/02/06

Like a rolling stone

腰が曲がり、手は長年の水仕事でしもやけのようになっている。そんなおじいさんのお豆腐屋さんがとうとう店を畳んだ。ときどき買っていたが、誰かとかちあったことがないくらい、お客さんは減っていた。ときどき自転車で売っている姿も見かけた。それでも売れ行きは芳しくなかったのだろう。

以前、電車内で見かけた不動産広告にあったフレーズが、チラシにも載っていた。各物件の説明の最後の方に、引渡しの項があり、こうある。

●引渡/即可(残代金精算後)

残代金を払わないまま引渡しを受けられると思っている客がいるのだろうか。知恵袋にはこんな質問が載っていた。

「家を購入しようと思って物件を見て回っています。ときどき『残金清算後入居』と書かれた物件を見かけます。これはどういうことなのでしょうか??」

JRはJRで、特急の利用には特急料金が要ります、と放送している。私鉄の特急には不要なものもあるから流すのかもしれないが、「常識」が通じなくなっている。


2017/02/05

矢印広告「arrows」

他社メーカー車の広告を注目させる!?
フォルクスワーゲンの矢印広告「arrows」
http://www.mif-design.com/blog/2017/02/04-080529.php

矢印は強力だ。

→論文「矢印はすすり泣いている

2017/02/04

加藤文俊ゼミ展

予定していた研究会がキャンセルになり、行ってきた、慶応の加藤文俊さんのゼミ展「フィールドワーク展XIII」。2年ぶり。

今年のテーマは「たんぽぽ」。
「タンポポはやがて綿毛をつけ、どこか遠くへ飛んでいきます。 いつしか綿毛はまちに還り、再び花を咲かせます。 わたしたちの活動も、綿毛のように飛んでいってくれたら…。 たくさん、飛ぼう。 そんな想いを込めて、フィールドワーク展を開きます」。

会場が2年おきぐらいで変わるので、そこに行くこと自体も楽しみ。今年のBUKATSUDOは2年目だそうだが、去年は行けなかったので、今回が初めて。

名称の由来は「部活動」。らしき空間が用意されている。なかでもいいのが広い台所。
大学にもほしいとずっと思ってきた。家庭科室も、できれば図工室も、と。作る空間、消費する空間ではなく。

さてフィールドワーク展。

・此下さんのセミドキュメンタリー・セミフィクション小説集『宇都母知の風』。音楽がセットになっている、各タイトル。アカペラによるCDまである。こういうエスノグラフィーもあり、と思わせる。
・大橋さんの「移動する『家族』」は、映像エスノグラフィー。離れている家族とのつながり方もテーマ。見ていて飽きない。
・姉妹でのレシート比較(土屋さん)は、これで生じた影響がおもしろい。互いの買ったものに関心を持ち、自分も買ったり、とか、生活実験、姉妹実験。
IKEZプロジェクトの「いけず」緩衝ツアーも楽しかった。イケズガールズ、小田島さんのガイドで、会場から桜木町駅までの往復を歩く。途中途中で有効な100円グッズが現地紹介される。手袋はめたまま操作できるようにタッチペン機能付き2色ボールペン、S字フック、携帯クッション。排除「アート」的なものも「行けず」の対象になっている。Good placeの追求が共通テーマ。


過去の印象記(2010年以前も行っているのだが、見つからない)
2015年 http://sobok2.blogspot.jp/2015/02/blog-post_8.html
2013年 http://sobok2.blogspot.jp/2013/02/blog-post_9.html
2012年 http://sobok2.blogspot.jp/2012/02/viii.html
2011年 http://sobok2.blogspot.jp/2011/02/blog-post_05.html
来年も楽しみ。


カレーキャラバン、お願いしてみようか、西日本で。

2017/02/03

清水きよし舞台写真展

写真展の初日、18時からオープニングパーティ。
会場はお茶の水駅から近いESPACE BIBLIO
会場までの道のりは、明治大学の変わった形のビルや旧文化学院(写真、現在は日本BS放送社屋)の建物があったり、と歩ける(行ったことはないが、日本のカルチェラタンと称される)
会場はビルの地下だった。
すでに坂野正人さんと清水さんとのトークが始まっていた。内山さんと誰かとの漫才風おしゃべりが入ったり、なごやかな雰囲気が続く。安心して聞いていられる。
食事休憩で横の空間に行くと、美術系の本の詰まった棚が並んでいる。聞けば、ここはブックカフェだという。あらためて店名をみる、「本の空間」。
お昼も食べられるらしい。気持ちのいい空間で、機会を改めて来たいと思わせる。
パーティの後半は、辻幹雄さんの11弦ギター演奏と清水さんのマイム「憧れ」。「憧れ」を「童の心」と解しての内容。紙飛行機を飛ばすシーンで始まる。
11弦の豊かな音に聞き惚れてしまい、帰ってからYoutubeを検索した。ヒットしたのはこの2曲「MuSuBi(結)」「木もれ日の中で」。
3月、オペラシティ近江楽堂でリサイタルがある。

名前であがる認知度

「名前がすてきと話題のプロバスケ選手『ザック・バランスキー』に名前についてざっくばらんに聞いてみた」というねとらぼのニュース。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1702/03/news133.html
――公式サイトの選手紹介ページの性格に「ざっくばらん」と書かれていますが、これはご自分で考えられたものでしょうか
 ザック選手:自分とマネジャーの新岡さんで考えました。
――名前が話題になったことについてどう思われていますか
 ザック選手:バスケもそうですし、(所属チームの)アルバルク東京も自分のことも知らなかったたくさんの人に知ってもらうきっかけになったので、素直にうれしいです。 
今回は「ざっくばらん」でよかったが、そうではない、偶然の一致もある。
今回は、いわば逆輸入。逆に、いいと思ってつけたはずの日本語の名前が、向こうに相当する音の語がある場合もある。それが××の場合も。

匿名のままでは死ねない

 「最期は本名で迎えたい」 TBSニュース 連続企業爆破事件の「東アジア反日武装戦線」メンバー 桐島聡容疑者(70)とみられる男の身柄確保 末期がん患う 警視庁公安部  名前を明かして存在証明。